ノートに綴った箱根駅伝。そのドラマは217.1kmを走る前から始まっている
『箱根駅伝ノート』 12月19日発売。
関東インカレ、夏合宿、ユニバーシアード、予選会、出雲駅伝、全日本大学駅伝まで各校を取材。
日頃の練習の合間に書いた日誌、内省、試合報告書からみられる、選手たちの悔しさ、涙、葛藤、歓喜、プライド……。言葉には出せない、ノートにしか綴られなかった想いもあるのだ。
選手、監督だけでなく、主務、マネージャーらサポートメンバーまで、その2日間にかけた青春を追いかける。
箱根がより熱くなる一冊。
以下、序文より。
正月の足音が近づいてくると、学生ランナーたちの胸の鼓動も高鳴っていく。1月2日、3日に「箱根駅伝」が開催されるからだ。
全国の有力ランナーたちが関東の大学に集まり、そして〝夢の舞台〟を目指す。厳しい予選会を突破して、正月のスタートラインに立てるのは20校。選手として箱根路を走ることができるのは各校10名のみ。選ばれた者たちが紡ぎだすストーリーは、見る者の心を揺さぶるほどの感動が詰まっている。
陸上競技はシンプルに速い者、強い者が〝勝者〟となる。結果については明白だが、それまでの「過程」については、ほとんど知られていない。
箱根駅伝を目指すランナーたちは、1月4日の朝練習から新たな1年がスタートする。一般的な学生生活を送りながら、朝練習と授業後の本練習で汗を流して、寮の仲間たちと栄養管理された食事をとる。それは退屈でストイックな毎日といえるかもしれない。
日々のトレーニングだけでなく、2月は各地のロードレ―ス、3月は学生ハーフ、4月は織田記念や兵庫リレーカーニバルなどのトラックレース、5月は関東インカレ、6月は全日本大学駅伝予選会と日本選手権、7月はホクレン・ディスタンスチャレンジ、8月はユニバーシアード、9月は日本インカレ、10月は出雲駅伝と箱根駅伝予選会、11月は全日本大学駅伝。数々のレースに参戦しながら、実力を蓄えていく。
そんな日々は、世間の注目を集める217・1㎞のレース以上に多くのドラマチックな出来事が起きている。
オリンピックを本気で狙うランナー、仲間たちとの絆、穏やかなキャプテンがキレた日、走れないエースの苦悩、裏方にまわった元選手、準部員から急成長した苦労人、夢みるランナーに魔法をかける監督。
平凡だけど、キラキラに輝く毎日を送る学生ランナーたち。彼らが日々、綴っている練習日誌などの「ノート」にはどんなことが書かれているのか。
箱根駅伝を目指す者たちの〝青春の日々〟を追いかけた。
酒井政人
【目次】
新入生が加わり、トラックシーズン開幕
5月 熱い思いは日々の練習4月 新入と「内省」に。絶対的エース・鈴木健吾の存在感
01 神奈川大
鈴木健吾選手、山藤篤司選手、鈴木祐希選手、大後栄治監督
6月 前回の悔しさを晴らす。關、鬼塚、館澤の2年生トリオが誘う黄金時代の幕開け
02 東海大
關颯人選手、鬼塚翔太選手、館澤亨次選手、両角速監督
7月 北の大地で「好タイム」を狙え
8月 高校時代は補欠だったエース。工藤、片西のユニバーシアード金・銀コンビがチームを牽引
03 駒澤大
工藤有生選手、片西景選手
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9月 穏やかな主将・安井の一喝。主務、マネージャーらサポートメンバーが支える名門校の総合力
04 早稲田大
安井雄一選手、永山博基選手、太田智樹選手、鈴木皐平主務、荘司結有マネージャー、相楽豊監督
10月 悲劇の予選会から1年。2年生主将・舟津を軸に新チームがあげた伝統校復活の狼煙
05 中央大
舟津彰馬選手、竹内大地選手、堀尾謙介選手、中山顕選手、藤原正和監督
11月 優勝を狙わないチームの勝つ戦略とは。新〝山の神〟誕生の予感
06 中央学院大
新井翔理選手、横川巧選手、大森澪選手、高砂大地選手、細谷恭平選手、川崎勇二監督