『人間革命』には一体何が書かれているのか
陰のベストセラー『人間革命』の内容 人間革命を読む④
霊友会、立正佼成会、PL教団の場合
創価学会のライバル教団である霊友会や立正佼成会、PL教団でも、同じような形で血筋によって教祖の地位が受け継がれている。
その点では創価学会は異色の教団である。池田の長男である池田博正は、現在、創価学会の主任副会長、その国際組織創価学会インタナショナル副会長で、幹部として重要な地位を占めている。著作もある。だが、池田の後継者と位置づけられているわけではない。
それも、親と子では、純粋な師弟関係を結ぶことが難しいからであろう。創価学会では、血のつながりよりも師弟の交わりが重視されている。
小説『人間革命』は、全部で12巻からなる長編小説である。あるいは大河小説という表現のほうがふさわしいかもしれない。
最後の第12巻の「あとがき」を見ると、当初は戸田が亡くなるまでを描く構想だったという。実際、戸田が亡くなる場面は、第12巻の6章のうち、第5章の「寂光」に出てくる。最後の章である「新・黎明」には、池田の会長就任のことが述べられているものの、戸田が亡くなったのは1958年4月2日で、池田の第三代会長就任は60年5月3日のことなので、その間のことはほとんど述べられていない。
その点では、小説『人間革命』は当初の構想のとおり、戸田が終戦を前にした1945年7月3日に豊多摩刑務所(後の中野刑務所)を出獄してきたときから、戸田の死までを扱っていると見ることができる。なお、豊多摩刑務所には、思想犯が収監されることが多く、大杉栄(おおすぎさかえ)、小林多喜二(こばやしたきじ)、三木清(みききよし)、埴谷雄高(はにやゆたか)などがいたことがある。牧口のほうは東京拘置所に拘置されていた。なお、『人間革命』において、池田大作は「山本伸一」の名前で登場する。
<『「人間革命』の読み方」より構成>
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