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クリスマスの定番曲が失恋ソングであることについて

キーワードで振り返る平成30年史 第9回

クリスマスの定番ナンバー
~平成元年(1989)~

illustration:TADASHI SATO

 早いもので今年も年の瀬を迎えた。ついこの間まで紅葉だの食欲の秋だの言っていたかと思いきや、忘年会から納会、クリスマス、仕事納め、大晦日と怒涛の年忘れイベントラッシュが始まって。もっともそういうせわしなさの中にあるリセットと大団円を待つような雰囲気が好きな人も、決して少数派ではないだろう。

 ところでその年末の数あるイベントの中でもやはり主役はクリスマス。最
近は同じ外来種のハロウィンにお株を奪われつつあるとはいえ、まだまだ年
末行事におけるラスボス感満載のクリスマスなのである。そのクリスマスを盛
り上げるのはクリスマスソング。昭和のクリスマスは『ジングル・ベル』や『きよしこの夜』、『もろびとこぞりて』などといった日本では半ば童謡扱いされているような毒気のないクリスマスソングが定番だった……。

 平成に入ってからは専ら山下達郎の『クリスマス・イブ』と英国のボーカル
デュオ、ワム!の『ラスト・クリスマス』がその役目を担っている。前者は発売こそ昭和58年のことだが、ブレイクが始まったのは昭和63年の年末、東海道新幹線をPRするJR東海のTVCMに起用されたのがきっかけだった。年明けの1月8日には元号が平成に切り替わり、JR東海のCMでの起用も平成4年まで続く。こうしてこの楽曲は平成クリスマスいや平成の年末を意識するのに欠かせないど定番の一曲となった。

 
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後藤 武士

ごとう たけし

平成研究家、エッセイスト。1967年岐阜県生まれ。135万部突破のロングセラー『読むだけですっきりわかる日本史』(宝島社文庫)ほか、教養・教育に関する著書多数。


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