足りないのは「時間」ではなく「知恵」だ
何も考えず一生懸命頑張ってもしょうがない トヨタ式で早く帰る②
この時期山積みになった仕事と、今年も残すところあとわずかとなったカレンダーを見て、「ああ時間がない…」となげく読者も多いのではないだろうか。『トヨタだけが知っている早く帰れる働き方』(文響社)を上梓した桑原晃弥氏に、改善方法をお答えいただいた。
時間を制するものばビジネスを制す
「成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている」はピーター・ドラッカーの言葉です。時間は借りることも、買うこともできませんし、仕事ができる人も、できない人も同じ時間しか手にすることはできません。そしてほとんどの人にとって時間はいつだって不足します。
特に仕事にはイレギュラーや、予定外がつきものです。一日の仕事を始める前、「今日やるべきこと」をきちんと書き出して、優先順位をつけ、順調に仕事をこなしたとしても、途中、予定外のことが起きるのはごく普通のことです。
取引先からの電話やメールに時間をとられることもあれば、会議や打ち合わせが長引くこともあるでしょう。あるいは、上司から「これ今日中に」という突然の指示も入ってきます。結局は「予定外」を引きずったまま就業時間は延びていき、2時間、3時間の残業は「当り前」になってしまいます。
こうした当たり前を当たり前でなくするためには、これまで以上に時間を有効に使うことが求められますが、ほとんどの人は「時間の使い方」を工夫するよりも、「もっとがんばらないと」「もっと一生懸命やらないと」と自分を奮い立たせようとしてはいないでしょうか。
たしかに仕事を効率よく、より早くやるためには「慣れ」や「訓練」、「知識」も欠くことはできませんが、同時に仕事の中に潜んでいるたくさんの「ムダ」を省き、仕事の仕組みを改善することも大切なことなのです。