足りないのは「時間」ではなく「知恵」だ
何も考えず一生懸命頑張ってもしょうがない トヨタ式で早く帰る②
私たちの仕事には「ムダ」や「付随作業」が多い
トヨタ式は私たちが「仕事」と思ってやっていることの中にはたくさんの「ムダ」や、本来は省くべき「付随作業」が含まれていると考えています。「ムダ」というのは、仕事に何ら必要がなく、原価のみを高める動作や、お客さまのいない仕事を指します。たとえば「ものを探す」ことなどはムダの代表で、すぐに省いていく必要があります。
一方、「付随作業」は生産現場なら離れた場所にある部品を取りに行ったり、部品の包装を解く作業で、本来はムダなのですが、現在の作業条件ではやらなければならないものです。営業部門ならお客さまに会いに行くための移動なども付随作業と言えなくもありません。
私たちは日々、一生懸命に仕事をしていますが、その中にあるたくさんのムダや付随作業を放置したままで「忙しい」「大変だ」「時間がない」と汗をかき、遅くまで働いたとしても、生産性があがることはありません。
それどころか疲れ果て、良いアイデアも生まれなくなり、良いパフォーマンスもできなくなってしまいます。実際、ある企業の開発チームでは毎日遅くまで残業をして、休日出勤をしたにもかかわらずまったく成果があがらず困り果てていたところ、上司の「君たちが残業ばかりしているからダメなんじゃないか」の一言で開き直り、残業も休日出勤もやめたところ、みんなの気持ちがリフレッシュしたのか、「何をすべきか」が見えてきて、業績が上向くことになったというケースがあります。