【車いすのダイバー】有名芸能人がアンバサダーをつとめる電動車いすキャンペーンに異議あり!《後編》
寝たきりゼロの老後をすごす方法/その五
■やりたいことがあるからこそ、リハビリに励めるのだ(電動車いすに乗るにも一定の体力が必要である!)
私と電動車いすとの出会い、については前編でお話ししました。これに安易に乗ってしまうと、楽なので自分の足で歩かなくなる……そうすると足の筋力が衰えて「いわゆるリハビリの考え方に逆行する」ということを、主張してくる専門家の方もいます。
これはある面で真実だと思う。私も「ちょっとそこまで」で自分で歩ける距離でも、ついつい早くて楽な電動車いすを使ってしまうのだから……。
だからこそ私のリハビリの目標は、「お店の前に2、3段の段差があって入れないが、とても安くて美味しい居酒屋に入れるように、このぐらいの段差は車いすを引っ張り上げられる筋力を保つこと」
「狭くて車いす用のトイレがないお店でも、通路を歩いて、洋式トイレに自力で行ける筋力を保つこと」
「段差がきつくて、車道から歩道に上がれない時、手動に切り替えて、自分で押して段差を乗り越える筋力を保つこと」
というのであって、リハビリの指導員の方にも、この目標を示してしっかり理解していただいています。
リハの指導をしてくださる方の励ましのおかげで幸いなことに現在も、これくらいの力はキープできていますが、年をとってくるので、これからも絶え間ない努力が必要だと思います。
筋力を鍛えて、いつまでも自分の足で歩けるのは、それは最高だと思うけれど、歩くことがあまりにもキツいと、外出それ自体を控えることになります。
そうなると、結局リハビリの目標を失って、意欲をなくしてしまうのではないか?
好きなこと、楽しいことをやれるような手段として、電動車いすを使い、それを使いこなすための必要な筋力を維持する、という目標でリハビリをやるというのは、果たして間違っているだろうか。
まずは人生を楽しむこと、毎日の生活を豊かにするために、それを支えるためのトレーニングが大切なのです。
■電動車いすの種類
自操用ハンドル形(別名:電動カート、セニアカー)
自操用標準形
自操用簡易形
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著書・執筆紹介
●日本心理学会 「心理学ワールド60号」 2013年 特集「幸福感-次のステージ」
「見ようとする意欲と見る能力を格段に高めるタブレット PC の可能性」
●医学書院 「公衆衛生81巻5号-眼の健康とQOL」 2017年5月発行 視覚障害リハビリテーションの普及
● 一橋出版 介護福祉ハンドブック17「視覚障害者の自立と援助」
1995年発行
●中央法規出版 介護専門誌「おはよう21」2020年12月号から2021年4月号まで「利用者の見えにくさへの支援とケア」連載予定