厄除けには「大師」「明王」、厄払いには…? 厄年にお参りすべき社寺
■重要な「役目を負う年」厄年には穢れを避ける
厄年は大病にかかったり、災いがふりかかったりしやすい年齢のことで、無事に過ごすためには社寺で祈祷を受けて慎んだ生活を送らなければならないとされる。
何歳を厄年とするかは地域によって違いもあるが、一般的には男の25歳・42歳・61歳(数え年、女も同じ)、女の19 歳・33歳・37歳(・61歳)とし、その前後の歳も前厄・後厄といって注意すべき時とする。
一説によると、厄年はもともと「役年」のことで、社寺の祭礼などで重要な役に就く年齢のことだったという。「役年」には穢れを避けるなど慎んだ生活をしなければならず、社寺でお祓いや祈祷を受ける必要もあった。一定期間は仕事ができないこともあり、心身ともに大変であったことから厄年と思われるようになったとする。
実際、厄年の年齢になると生活環境が変わったり、重要な仕事を任されるようになり、心身に疲労がたまって病気や事故に遭いやすくなる。こうした経験的知識から厄年信仰が生まれたのであろう。
厄年には社寺で祈祷を受けて厄払いをするのが一般的だが、かつては持ち物をわざと落としたり、餅撒きをしたりして厄を払うこともあった。また、お神輿(みこし)をかつぐとよいという地域もあった。
【厄除け・厄払いの力が強いのは】
弘法大師をご本尊とする寺院
弘法大師空海は日本に純粋な密教を伝えた真言宗の開祖。さまざまな霊験をみせたと伝えられる。川崎大師の本尊は平間兼乗が42歳の時に発見し、その霊験で無実の罪がはれたという尊像で、古来厄除け大師として有名。
元三大師像を安置する寺院
元三大師良源は比叡山を再興した天台宗の名僧。その祈祷は霊験があるとして信仰を集めた。鬼の姿を現わして疫病神を退散させたと伝えられ、その姿を写した「角大師」のお札は魔除けのご利益があるとされる。
不動明王をご本尊とする寺院
明王は煩悩や魔障を打ち破る最強の仏。中でも不動明王は密教の教主・大日如来の化身で、あらゆる災厄を払うとされる。成田山の不動明王像は平将門の乱を鎮定するため京都の神護寺から移されたという霊験ある尊像。
八幡大神をお祀りする神社
八幡大神(応神天皇)は大分県の宇佐神宮を総本宮とする全国の八幡宮・八幡神社で祀られる神。武勇の神として知られ、国難の際には朝廷から奉幣が行われた。石清水八幡宮は都の裏鬼門を守る神社として信仰を集めた。
素戔嗚尊(須佐之男命)をお祀りする神社
素戔嗚尊は天照大神の弟神で、八岐大蛇を退治した英雄神。疫病を防ぐ神ともされ、その信仰に基づく祭が祇園祭。かつては牛頭天王の名でも祀られた。津島神社は京都の八坂神社とともに祇園信仰の中心神社である。
(『一個人』2021年冬号より抜粋)