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障害を負い見え方が一変した世界での恋愛

第2回 障害者の「性」

「障害者だから…」諦めに覆われた恋愛感情

 希さんはいつしか友人としてではない気持ちをヒカルさんに抱くようになる。
 しかし中学生の頃から友人だったヒカルさんとは共通の友人も多く、「関係性を壊すのではないか」という懸念の他に、「障害者となり何もかもできなくなった自分に、恋愛なんてできる訳がない」、「ヒカルさんの足を引っ張るだけだ」、「普通のカップルのようなデートは無理! 手をつないで歩くことすらできない」と、ヒカルさんへの恋愛感情が浮かぶもすぐ、「障害者だから無理」と、諦めの思いに覆われていた。

 そんな葛藤を一人繰り返した後、ヒカルさんへの思いにフタをすることにした。やはり関係が壊れることが何より怖かったからだ。それからもヒカルさんとは変わらず友人関係は続けていたが、半年ほど過ぎた頃、何かの拍子にヒカルさんも希さんと同じ思いであることを知り、二人は交際することになる。

 希さんは「車椅子の彼女を連れているだなんてみっともないし、ジロジロ見られて恥ずかしい」という理由で、デートはドライブか人目につかない場所にしたいと言った。

 しかしヒカルさんは「そんなこと気にするな!」とキッパリ言い返した。そのヒカルさんの言葉がキッカケとなり、希さんは人目を避ける日陰の生活から、日の当たる場所での生き方へと徐々に変わっていくことになった。

 だが希さんの心境が人目を避けることがなくなってからも、障害を負い、車椅子の利用者となった希さんならではの別の問題や悩みが生まれることになる。

次のページ花見も海水浴も、手をつないで歩くこともできない

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善光 てら

よしみつ てら

障害者や介護や女性ならではの、さまざまなモノ・コト・ヒトについて書く。



乳癌サバイバー。介護福祉士。


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