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なぜ男は料理でいつも煮込みたがるのか?

オヤジが休みの日に作っていたカレーの記憶

思い出にまつわる愛しき料理。そんな「めめし飯」があなたにもありませんか? クックパッド芸人藤井21、父親にまつわる思い出の料理。何の変哲もないカレーの記憶。

月曜日にオヤジが作るカレー

 

 父親の料理。

 僕の記憶にある父親はほとんど料理をしない人間で、「男子厨房に立つべからず」を地で行く様な古くさい人だった。事実父親が料理をしてるのをほとんど見たことがない。

 でも、そんな父親が思い出したかのように台所に立つときがあった。それは決まって月曜日だった。

 うちの実家は小売の酒屋を営んでいて、月曜日が定休日だったのだ。

 そして一家の旅行やイベントはそこに合わせる事が多かったので、年に何回か親公認で月曜に学校を休める日があった。普通の人にとっては1週間の始まる憂鬱な日が、特別な日になったのだ。

 そんな月曜の昼頃よく父親は台所に引きこもっていた。普段料理のしない父親がごそごそと台所で料理をする姿はひどく異質だったのでよく覚えている。

 作る料理は決まってカレーだった。

 われわれ日本人にはお馴染みの例の赤い缶に入ったカレー粉を使う。あのカレー粉でルゥから作るのが父親のカレーのこだわりだった。そして月曜の昼からカレーの香ばしい香りが家中に立ち込める。

 男は料理をすると、とにかく煮込みがちである。

 御多分に漏れず、父親も台所に立ち、鍋に張り付いてカレーを何時間も飽きずにコトコト煮込んでいた。そしていつまでもアクを取るのだ。時間はかかるし、洗い物も多い。「簡単」「時短」を信条とする、主婦の料理とは反対を行っていた。

 具はシンプルに豚肉と玉ねぎ、中濃ソースやらケチャップやらかくし味的なものをふんだんに盛り込む。

「まだだからな」と言わんばかりに鍋に蓋をして弱火でコトコト煮込む。そう、やっぱり煮込む。そうして茫漠(ぼうばく)な時間と大量の洗い物と共に出来たカレーを食卓に出す。みんなでカレーを食べだすと、父親が一番に「もうちょっとコクが酸味があった方がよかったな」とか「醤油足すか?」とか矢継ぎ早に畳み掛けてくる。そのままでも充分に美味しいのにと思っていても何かと保険をかけたがる。普段料理をしない人間の癖なのだろう。美味しいと言ってもまだ何か言っている父親も、みんながおかわりしだすと、やっと満足といった感じでビールをあおる。

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藤井21

ふじい21

オフィス北野

お笑い芸人

1987年埼玉県東松山市生まれ。 オフィス北野所属のお笑い芸人。



実家は酒販店を営んでおり、両親が共働きだった事もあり、幼い頃から自分で簡単な料理をしていた。



学生時代から今に至るまで飲食店でアルバイトを続けており、その種類は和食、イタリアン、中華、居酒屋、ステーキ店等々多岐に渡る。



自身も飲食店を開く際に必須の資格である「食品衛生責任者」を保有する。



日本テレビ「ウチのガヤがすみません!」で披露している料理は著名人も太鼓判の味。



クックパッドに毎日レシピをUPしており、投稿数は500品以上。



またブログ、Twitter、Instagramでも自作の料理や料理にまつわる豆知識を配信している。



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