馬鹿ブス貧乏な私たちが、世界に必要とされなくなっても生きていくための処世術【佐々木ののか】
■私が欲しいのは、私のための、地に足のついた知識と処世術なのだ
新型コロナウイルス、と書くのも憚られるほどに、この1年はコロナ一色で塗り潰された。
会社や職だけでなく、身近な人を失った人もいたかもしれない。そうでなくても先行きの見えない中で約束が手折られ続ける日々に、心細さを抱かなかった人などいないだろう。
飛び交う情報があまりに多く、正しいとされていた報道が翌日にはデマになる。日々更新される世界レベルの変化を知っても、それらが自分の生活にどのように影響してくるのかがわからない。
そんな中、「withコロナで変化する人類の生き方」や「〇〇業界のこれから」といったイベントを立ち上げて、教祖然として振る舞う人たちを冷ややかに見ていた。ここぞとばかりに開催される各社のポジション取りゲームに巻き込まれるのはうんざりだ。先行きが見えない中で、“確からしいもの”を求める人の気持ちもよくわかるのだけれど。
しかし、何が正しいかもわからない状況下でこそ、誰かに乞うた教えに従うのではなく、自分の頭で考えたいと私は思う。
私が欲しいのは、私のための、地に足のついた知識と処世術なのだ。
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そんな私をまっすぐに貫く本が、藤森かよこさんの『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』(KKベストセラーズ)だ。
私は前作も拝読しているので驚かないが、タイトルの「馬鹿ブス貧乏」の文字圧に騙されてはいけない。本書は、「馬鹿ブス貧乏」でもこの地獄を生き抜けるように指南する、厳しいようでおしなべてやさしい処世術の本である。