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「校長のパワハラ」でうつ病になる教員

知ったかぶりでは許されない「学校のリアル」 第12回

◆自分の力を勘違いした校長の嫌がらせ

 さらに彼は、「精神疾患の原因が、パワハラ、特に校長のパワハラにあるというのは実感していました」と続けた。たとえば、校長は教員の書いた文章をチェックする義務があるが、チェックして修正を命じ、直してきたものを再度チェックして、再び修正させる、前に自分が指摘して修正させたところを修正させるようなことも平気でやる。まるで嫌がらせとしか思えないが、そんなことが少なくない、という。「重箱の隅をつつくようにネチネチ」と、彼は表現した。そのターゲットにされたら、たまったものではない。

「しかも」といって、元教員は続けた。「教員というのはプライドが高い人たちなんですね。ネチネチやられると、そのプライドが大きく傷つく。一度、傷つくと、なかなか立ち直れない。問題の校長が転任したり、自分がほかの学校に移って、校長とわかれられたにもかかわらず、傷つけられたプライドは修復せず、病院に行くと『うつ病』と診断されてしまうんです」

 学校では管理が強まるばかりだ。東京都では、職員会議は存在していても、実態は「会議」ではないという。大事なことは校長と主査クラスの「幹部」だけの企画会議を開いて決め、職員会議はそこで決まったことが伝えられる場にしかなっていない。若い教員は意見を述べることさえ許されていないわけで、ますます校長の独断で物事は動き、校長の権限は強くなるという構造になっている。

 自分の力を勘違いした校長によるパワハラが起こりやすい環境になってきているというわけだ。「そんな校長ばかりではありませんけどね」と元教員は念押ししたが、見過ごしにできない問題であることはたしかである。

 

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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