【忘れない命を守る対策】地震発生直後を襲う窒息死とは何か? 死亡診断書は物語る。阪神・淡路大震災でなぜ「圧死」はわずか8%だったのか
阪神・淡路大震災から26年 地震大国日本_来たるべき大地震に備えてこれからの防災を考える②
■「地震耐国」への備え——データに基づく「RE・do診断」
建物倒壊による死亡リスクは、圧死よりも窒息死が多いという事実。来たるべき大地震でどのように住居への耐震化対策と準備を社会で進めるべきか。
対策は、建物倒壊を防ぐことにつきるのだが、実際、耐震補強・改修は住宅の建て替え以外で進んでいないのも実情である。理由は、資金面の問題だ。通常、耐震診断でさえも大きな費用がかかると言われる。
では、最も効果的な耐震対策はできないものなのか。その一つの解決策となる耐震診断が民間会社から提案されている。
1993年創業で、阪神・淡路大震災を身をもって経験した建築耐震補強で実績のある株式会社キーマンの「Re・do診断」である。同社の強みは、建築分野(集合住宅・学校、庁舎)と土木分野(橋梁・鉄道)の工事実績が400件以上。この豊富なデータベースに基づきリーズナブルで的確な耐震診断を行なっている。
では、それはどのような方法で、従来の耐震診断との違いは何であるのか。同社営業部長の西山健次氏に同診断の内容をうかがった。
「『Re・do診断』とは建物のオーナー様に建物が現在、安全性の観点からどのような耐震状況にあるのか、正確に迅速に知らせることを目的と診断であり、弊社の耐震工事のデータベースともとに分析、建替か改修の判断をリーズナブル
に行える診断です」(同氏)
同診断は構造図面(設計図)より建物の耐震性を判断するだけでなく、補強する場所から補強に関わる費用や工期まで算出する手法である。老朽化不動産の耐震性の事前チェックや予算の算出に用いられ、通常の耐震診断の価格よりも安価に調査することができる同社独自の技術である。
例えば、2000平米のマンションの場合、通常、耐震診断費用は400万を超える。
それが、「Re・do診断」では8分の1程度(50万〜、要設計図)の費用で収まるという。
耐震化を進める上でインセンティブになるのではなかろうか。
■「耐震化の壁」を乗り越える設計図からの耐震構造診断
では、具体的に何を診断するのか。「耐震診断で知らなければならないデータは決まっているのです」(同氏)
同社の診断の骨子は大別すると二つである。通常、コンクリートはアルカリ性で強度を保つが、経年で酸性に変化し、劣化する。そこでコンクリートの①中性化深度②圧縮強度を同社の耐震データベースに照らし、さらに図面(設計図)を用いて建物の構造自体から診断を行う流れである。
「建物の居住者の生命を守ることが第一です。しかし、具体的に耐震化対策のハードルとなるのはお金と手間なのです。建物のオーナー、顧客の立場で最善の耐震安全対策をご提供できるようにと考えました」(同氏)
「耐震化」への最大の壁とは経済的負担である。現状、建物のオーナーに任せきりの現状では、社会の耐震化は非常に難しい。
しかし、この費用問題と前向きに取り組む同社など民間サービスの力で来たるべく大地震対策の確実な一歩になるのではなかろうか。
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