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今年の干支 うし年にちなんだ珍名さん

珍名さん万歳(47)

 今年は丑(牛)年である。十二支の干支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)は、昔から年・時間・方向などを表す言葉とされてきた。

 干支の起源は古代中国にあり、日本には飛鳥時代に伝わったと言われている。実は、干支に関する名字は多く、特に丑(牛)は亥(猪)に次いで多い。

 丑(牛)の付く名字では、丑米(うしこめ)・丑丸(うしまる)・丑番(うしばん)・丑屋(うしや)・丑山(うしやま)・丑尾田(うしおだ)・丑久保(うしくぼ)・牛(うし)・牛尼(うしあま)・牛窓(うしまど)・牛草(うしくさ)・牛飼(うしかい)・牛抱(うしかんば)・牛頭(ごず)・牛腸(ごちょう)・牛神(うしがみ)・牛久(うしく)・牛袋(うしぶくろ)・牛鼻(うしはな)・牛若(うしわか)などたくさんある。これらの名字には、それぞれ由来がある。

「牛抱」という名字の由来は、昔殿様がある村を通りかかった時に、牛が横たわり道を塞いでいた。そこで村人が牛を抱えて移動させたことから、殿様より「牛抱」を名字として賜ったと伝えられている。

 また、「牛腸」という名字は、大工さんなどに振る舞われたご馳走から生まれている。昔、職人の昼食を「ごちょう」と呼ばれ、新潟県のある地域では家屋の新築の時、建主の親戚が大工さんなどに振る舞う食事を「ごちょう」と呼び、その「ごちょう」に「牛腸」をあて名字にしたと考えられる。「牛」の「腸」にしたのは、牛の腸を調理して振る舞ったからとも言われている。現に、新潟県には「牛膓(ごちょう)」「午腸(ごちょう)」「午膓(ごちょう)」という名字も存在している。

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高信 幸男

たかのぶ ゆきお

名字研究家



1956年、茨城県大子町生まれ。高校の時から名字研究を始め、全国を旅しながら名字の由来やエピソード等を取材している。主な著書に『難読希姓辞典』『名字歳時記』『珍名さん』など。日本家系図学会員、茨城民族学会員、日本作家クラブ会員。


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