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ルーズヴェルト大統領、四つの大罪

保守派から見たルーズヴェルト像 インテリジェンス・ヒストリー④

 第四に、ルーズヴェルトが作り出したニューディール連合という政治勢力による、言論の自由や学問の自由の圧殺と歴史の捻じ曲げです。
 ルーズヴェルトの長期政権の間に、リベラル派官僚が強大な権限を持つようになり、労働組合員の数が急増しました。これらの勢力とリベラル派のマスコミが結びついた巨大な政治勢力を「ニューディール連合」と言います。

 このニューディール連合が、ルーズヴェルト政権以来、戦後に至るまで、アメリカの政治・アカデミズム・マスメディアを牛耳っていて、ルーズヴェルトへの批判をタブー視してきたのです。
 簡単に言えば、保守派の立場からルーズヴェルト大統領を批判する学者は大学では出世できず、マスコミにも登場させてもらえず、ルーズヴェルト批判の原稿は新聞でも掲載されませんでした。

 日本の大学やメディアが左傾化しているとよく言われますが、アメリカの学界とメディアの左傾化は日本より激しいと言えます。
 ルーズヴェルト民主党政権の間に構築されたサヨク的なニューディール連合が官界や学界やメディアをがっちりと押さえ込んでしまった結果、戦後のアメリカの新聞には産経新聞にあたるものすらないのが実態です。

 『ワシントン・タイムズ』という保守系の新聞があることはありますが、影響力はそれほど大きくありません。テレビも同様の偏向ぶりで、たとえばCNNは保守派からは「コミュニスト・ニュース・ネットワーク(共産主義者のニュース・ネットワーク)」と揶揄されています。

 アメリカ人に聞く歴代大統領の人気ランキングのような調査では、ルーズヴェルトが常に上位三位に入る高評価を保ってきた一方で、チャールズ・ビーアド博士という歴史学会会長を務めたほどの重鎮の歴史学者でさえ、ルーズヴェルトを批判する『ルーズヴェルトの責任』(前掲)を書いたために、ビーアド自身だけでなく家族までが酷い迫害を受けたと言われています。

『日本は誰と戦ったのか』より抜粋)

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江崎 道朗

えざき みちお

評論家。専門は安全保障、インテリジェンス、近現代史研究。



1962年生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフなどを経て、2016年夏から本格的に評論活動を開始。月刊正論、月刊WiLL、月刊Voice、日刊SPA!などに論文多数。



著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社新書)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)ほか多数。



 


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