誤解されるがんの「標準治療」 正しい意味とは
がん治療のニュースでよく聞く「標準治療」……本当に理解していますか?
がんの闘病を告白する芸能人が増えたことから、がん治療にまつわる情報を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。1万人以上のがん患者を治療し、SBRT(体幹部定位放射線治療)において世界トップクラスの治療実績をもつ(肝臓がんで世界1位、肺がんで国内2位)放射線治療専門医・武田篤也氏が著す『最新科学が進化させた世界一やさしいがん治療』より、ニュースに度々登場する「標準治療」の正しい意味を解説します。
■医学的にもっとも推奨される「標準医療」
早期の場合を除いて、がんの治療では、手術、放射線治療、全身化学療法という三大療法からどれか一つだけ選ばれるのではなく、多くの場合それぞれの特長を生かしながら組み合わせて用いられます。
どのように組み合わせるかは、がんの種類やステージによってかなり異なります。
ただ、どのがんのどのステージにおいても「標準治療」が設定されています。
標準治療とは、大規模な臨床試験によって治療効果の可能性が示され、かつ安全性が許容された、医学的にもっとも推奨される治療法です。
要するに、「このがんのこのステージならば、この治療法が一番いいですよ」と、エビデンスに基づいて医師が示せる治療法です。
エビデンスは一般的に「科学的根拠」と訳されます。「エビデンスに基づいた医療」という言い方をよくしますが、これは医療行為において治療を選択する際などに、「実際に使って効果が確かめられている医療」とでも解釈していただけばいいでしょう。日本において、標準治療は各学会が最新のデータをもとに基準に則(のっと)って決めており、一般の人でも国立がん研究センターや各学会のホームページなどで見ることができます。
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