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「全米ライフル協会」テキサスに移転はアメリカ合衆国で内戦が起きる予兆?

武装権を否定されたアメリカ人は共和国の市民じゃない

■NRAを追放してもアメリアの銃文化は消えない

 2017年の調査によると、アメリカの人口は326,474,000である。ざっと言えば3億2600万人だ。(軍隊や警察を除いて)市民が所有している銃の数は、393,347,000だ。つまり、赤ちゃんを含めた子どもの数より銃の数のほうが多い。ざっと言えば3億9000万丁だ。とんでもない数である。

 これらの銃の中で当局に登録されている銃の数は1,073,743丁である。たった約101万丁だ。あとの392,273,257丁は未登録なのだ

 反社会的組織所有の銃の数は把握できないのだから、実際にはアメリカ国内には、もっと銃があるに違いない。

 銃規制派は、これらの銃を市民に全部廃棄させるつもりなのだろうか。人口より多い銃のすべてを。

 そんな国で、NRAを解散に追い詰めたぐらいでは、銃犯罪の数が減るはずもない。そもそも、銃規制派は市民の自己防衛の権利については、どう考えているのか。

銃規制派がアメリカを内戦状態にするかもしれない

 アビゲイル・A・コーン(Abgail A. Kohn)は、銃規制派によって極右として蛇蝎視される反銃規制派の実像を広範囲に調査して、その結果をShooters, Myths and Realities of America’s Gun Culture(Oxford University Press,2005) に発表した。わかったことは、銃規制派であるとされる民主党支持の市民も銃を購入し、仕事帰りに射撃の練習をしている(射撃練習場はアメリカのどこにでもある)ということだった。

 結局は、銃の所持者は、普通の健全なアメリカ市民であり、政治的にも性別でも民族的にも性的嗜好(ストレートかLGBTか)においても多様であった。女性専門の銃雑誌Women and Gunsという雑誌まであるのだから(今はWeb magazineのみ)。民主党員だろうが共和党員だろうがリバータリアン党員だろうが銃を持っているのだ。

 つまりは、NRAのありかたを嫌う人々でさえ、ひそかに銃を所持しているということだ。それは、そのようなアメリカ人の中に世界初の共和国アメリカ合衆国の市民として、自分や自分の家族は自分で守ろうとする気概があるからだ。アメリカ建国の民兵(猟銃のライフルで政府正規軍と闘う市民)の神話は、彼らや彼女たちの心の中に生きている。

 NRFは、どこの団体にもありがちな寄付金使用流用の問題を責められ、政治の中心地からの撤退を余儀なくされている。これがトランプ憎しの民主党勢力(The Deep State)の単なる嫌がらせであるのならば、まだいい。正義屋さんが何か騒いでいますね、ですむ。

 しかし、何者かたちが、市民管理監視統制支配のために、本気で銃規制しようとするならば、アメリカで内戦がほんとうに起きるに違いない。

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藤森 かよこ

ふじもり かよこ

1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。福山市立大学名誉教授で元桃山学院大学教授。元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)である、アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者。アイン・ランドの大ベストセラー『水源』、『利己主義という気概』を翻訳刊行した。物事や現象の本質、または人間性の本質を鋭く突き、「孤独な人間がそれでも生きていくこと」への愛にあふれた直言が人気を呼んでいる。

 

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