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元ゴールドマン・サックスのディレクターは「30年後のために今、『米国債』」に取り組む。その理由

証券会社がひた隠す米国債投資法②

ゴールドマン・サックスでマネージング・ディレクターを務めていた杉山暢達氏が刊行した『証券会社がひた隠す米国債投資法』が話題になっています。なんでも、米国債のようないわゆる「ゼロクーポン債(利金がないかわりに額面金額より安く購入できる債券)」を販売しても、手数料を稼ぐことができないからその認知度が上がってこないというのです。今回は本書より米国債のメリットについて紹介してもらいます。

米国債は購入時に利回りが確定する

画像/PAKUTASO

 米国債は購入時に利回りが確定します。正確には、購入時に利息分を差し引いた価格(額面金額を下回る)で購入できるため、事前にいくらもらえるか(償還時に返還される額面金額)、そしていくらの利益がでるか(額面金額-購入価格)が明らかになります。

 株や投資信託、あるいは為替取引(FXなど)であれば、購入時に売却後の価格が明らかになることはありません。その後の価格変化をチェックして、売却に適した時期を探る必要があります。それだけ労力と時間をかけなければならいのです。

 投資に慣れている人ならそれでもいいのですが、普段からあまり投資に馴染みがない人の場合、そのための負担は重荷となってしまいます。そうであれば、事前に売却時の価格が分かってしまう方が投資しやすいでしょう。

 たとえば、米国ゼロクーポン債を野村證券の窓口で購入する場合を考えてみましょう。28年4カ月物の米国ゼロクーポン債は、購入単価が「45.52」となっています(2017年10月時点)。つまり額面金額を1万ドルにしたい場合、4552ドルで購入できるということです。

 これが割引債と呼ばれる所以です。額面金額、要するに28年4カ月後にもらえる金額は1万ドルですが、購入時は「1万ドル×45.52%=4552ドル」で買えてしまう。それだけ事前に利息分が差し引かれ、額面金額を大きく下回る価格で販売しているということです。

 ちなみに、この場合の利回りを計算すると、「2.790%」となります。安全に運用できて、かつ3%近くの利回りが購入時に確定しています。

 これだけ分かりやすく、しかも安心して購入できる金融商品は、他にはありません。

 
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杉山 暢達

すぎやま のぶみち

株式会社ゴールドハーツ代表。1967年大阪府生まれ。

1989年京都大学法学部を卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。

2000年マネージングディレクター。

2004年パートナー(全社員の中の上位約300人)に選ばれるも、これを辞退。

2005年ゴールドマン・サックス証券を退職し、金融業界を引退。

現在はファイナンシャルプランナーとなり、株式会社ゴールドハーツを設立。


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