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がんに効く「免疫チェックポイント阻害薬」とは?

1万人以上のがん患者を治療する放射線治療専門医が語るがん治療最前線

 ただし、一人年間三〇〇〇万円以上かかると言われるオプジーボの保険適用範囲が広がったことで、医療保険制度を圧迫しました。そこで、政府の働きかけもあって、価格が半分近くに下げられました。今後も新薬が開発され、医療費を高騰させることが懸念されており、国民皆保険制度崩壊が危ぶまれています(オプジーボの価格は二〇一七年二月に、半額に引き下げられました。それでも高額です)。

■いずれ一般的な薬になるはず

 いずれにしても、免疫チェックポイント阻害薬が従来の方法を上回る治療成績を収めていることで、がんの標準治療はどんどん置き換わっています。たとえ、ステージⅣまで進行してしまったがんでも、治る人が出てくるのではないかと期待されています。免疫チェックポイント阻害薬は副作用の少ない治療ですが、一方で、人の免疫を活性化するため、自己免疫疾患のように自分自身を攻撃する特殊な副作用を起こすことがあります。たとえば副腎が攻撃されればショックに陥りますし、膵臓が攻撃されれば突然糖尿病にかかってしまいます。そういった副作用を上手にコントロールしていかなければなりません。

 日本は国民皆保制度により、今のところ高額な薬でも効果があれば適用として認可してしまいます。そのため、適切な疾患、ステージ、薬の特異的検査で効果があることが期待される状態であれば、保険の範囲内で行うことが可能です。

『最新科学が進化させた世界一やさしいがん治療』より構成>

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武田 篤也

たけだ あつや

放射線治療専門医。1994年、慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、防衛医科大学校病院、都立広尾病院にて放射線治療診療を行う。2005年に大船中央病院に赴任し、放射線治療センターを開設。以降13年あまりの間に、全国有数の高精度放射線治療施設とする。SBRT(体幹部定位放射線治療)を2000例以上行う(肝臓がんは世界1位、肺がんは国内2位)。70編以上の医学英文論文に加えて専門書『The SBRT book』(篠原出版新社刊)を執筆。中東の某石油産出国の国王に呼ばれ、診療を行った経験もある。


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  • 2018.01.19