「はれのひ」問題。お金は取り戻せるのか?
逃亡する社長の罪から、消費者への補償まで。弁護士に聞いた。
■そもそもはれのひは「倒産」したのか?
まず疑問なのが、はれのひは「倒産」したのか、ということ。成人の日の前日である1月7日より、一部店舗が営業を停止。自己判断で営業を続けた、福岡天神店も9日朝には営業を停止している。しかし、社長の篠崎洋一郎氏は公の場に姿を表しておらず、会社としての公式アナウンスは一切ない。
「事実上倒産しているという状況です。事実上と言ったのは、実は『倒産』という用語は法律上存在しないからです。一般的に倒産をあらわす言葉の中で一番分かりやすいのは『破産手続開始の申立て』といって、債務超過であるということを裁判所に申し立てる手続です」
「『はれのひ』は、この破産の手続はおろか、その準備すらもされていない。普通は債権者に対して、経営が立ち行かなくなったので債務整理をする、と通知を出すものです。そうした対応もとらず、今回のようにトップが逃げ回っているというのは、非常に悪質な事例と言えます」
■どんな罪に問えそうか?
では、その行方をくらましている社長以下経営陣はどんな罪に問えそうか。
「まず刑事事件でパッと思い浮かぶのは『詐欺罪』でしょう。サービスを提供する意志もないままに、成人式直前まで『現金払いだったら割り引きます』とお金をかき集めて逃げた。これが詐欺に当たるのではないか、と」
しかし、これは立証が非常に難しいという。理由をこう説明する。
「なぜなら会社にとって現金資産は大事なもの。経営が厳しいときに現金を集めるのはある意味当然のことだからです。それが『持ち逃げ』するつもりで現金を集めていたのか、今後の経営を考えキャッシュフローを回すために集めていたのか。その区別は心の中のことなので、一般的に立証が難しいと言われているのです」
今回の場合、「持ち逃げ」の意図があったことは明確だが、それを証明することは難しいのだ。ならば、目に見える「詐欺」の証拠があればよい。
「一番立証しやすいのは、銀行に融資の審査をうける際の書類に虚偽があった、というパターン。まだ財務諸表は確認できていませんが、資本金150万円で売り上げ高もない状況で銀行側が4億の追加融資を決めるということはほぼありえない。銀行側に提出した書類に粉飾(売り上げ高の水増しなど)があったと考えるのが自然です」
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