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機械の性能と医療の質は比例するのか

1万人以上のがん患者を治療する放射線治療専門医が語るがん治療最前線

■手術するロボット・ダヴィンチの問題点とは

 内視鏡を使って手術するロボットとして「ダヴィンチ」が注目されています。

 技術的には、遠隔操作で、大阪にいる患者さんを東京から治療するということも可能でしょう。

 現段階でダヴィンチは、前立腺がんと腎臓がん(腎部分切除)の手術で保険適用となっています。目新しさも相まって患者さんが多く集まっていますが、問題がないわけではありません。

 いくら患者さんが集まっているとはいえ、もともと機材が高額なのとメンテナンスにお金がかかるので、どうしても赤字になってしまいます。また、患者さんにとっての問題は、コストを賄うために手術件数を増やす必要から、今までなら放射線治療を紹介していた患者さんでも手術をより強めに説明するようになることです。

 ヨーロッパではダヴィンチがコストのかかる治療として「廃れていく」と言われています。日本人は新しい機械にすぐに飛びついてしまう傾向にありますが、もしかしたらダヴィンチ導入は失敗に終わるかもしれません。

 また、ダヴィンチばかり使っていれば、開腹手術に不慣れな医師に育ってしまうことも懸念されます。内視鏡を使って手術していても、何か不測の事態が起きたときにはすぐに開腹手術に切り替えなければなりません。そのレスキューができない医師が増えてしまうことが問題です。

『最新科学が進化させた世界一やさしいがん治療』より構成>

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武田 篤也

たけだ あつや

放射線治療専門医。1994年、慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、防衛医科大学校病院、都立広尾病院にて放射線治療診療を行う。2005年に大船中央病院に赴任し、放射線治療センターを開設。以降13年あまりの間に、全国有数の高精度放射線治療施設とする。SBRT(体幹部定位放射線治療)を2000例以上行う(肝臓がんは世界1位、肺がんは国内2位)。70編以上の医学英文論文に加えて専門書『The SBRT book』(篠原出版新社刊)を執筆。中東の某石油産出国の国王に呼ばれ、診療を行った経験もある。


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  • 2018.01.19