「がん診療」を有意義なものにするコツ
1万人以上のがん患者を治療する放射線治療専門医が語るがん治療最前線
■医師の質問には簡潔に答えましょう
医師が患者さんに何か質問をしたときには、簡潔に答えるようにしましょう。
限られた診療時間内で、医師は少しでも必要な情報を集めようとしています。もし、わからないならはっきり「わかりません」と答えてください。そうすれば、医師は別の角度から質問をして確認できます。
ところが、「何か答えなくてはいけない」と思うのか、質問の意図とずれたことを長々と一生懸命お話しする患者さんがたくさんいます。あせらず、簡潔に答えるように心がけてください。
また、本人に聞いているときは、家族がそれを遮ったり、決めつけてしまうことがないようにしてください。
七〇代で早期肺がんが見つかった患者さんは、自分で調べてSBRT(体幹部定位放射線療法)を望み、私のところへやって来ました。意思確認をするために「本当に手術でなくていいか」と私が聞いたところ、同席している子どもたちが「手術をすべきだ」と言い張って、本人は押し黙ってしまいました。医師は家族のコンセンサスが得られないまま治療を行うのは不安です。どうにかその場を和らげようと努力しますが、これでは、誰のための治療なのかわかりません。