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物忘れより困る「認知症」の症状3つ

【隔週木曜日更新】連載「母への詫び状」第十一回

高視聴率のドラマに弄便の人を…

 しかし、介護の現場に触れると、弄便は珍しい症状ではないとわかる。物忘れの激しい認知症のおじいちゃんがテレビドラマによく出てくるなら、排泄物をいじりまわすおばあちゃんも、たまには出てこないとおかしいくらい、よくある症状である。

「あら、おいしそうなおはぎ」と食べてしまう場面も描かれるべき……などと書くと、品の悪い冗談に思われそうだが、これは介護施設の人がまじめに話していたことだ。世の中に知ってもらうためにも、高視聴率のドラマに弄便の人を出して欲しい、と。

 この問題行動を身近に知っているか、知らないかだけでも、認知症患者を介護施設に預けるべきか、自宅で面倒を見るべきか、という意見に影響があるだろう。介護施設の職員の待遇をもっと改善するべき、といった議論にもつながるだろう。

 認知症は、物忘れが進んだ末に、息子や娘がわからなくなるだけの病気ではない。自分のウンコをいじりまわして、なすりつけてしまう。そんな症状が普通に起こる、人が壊れてしまう病気である。

 前記の『恍惚の人』から一節を引用しよう。

「老いは死よりずっと残酷だ」

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夕暮 二郎

ゆうぐれ じろう

昭和37年生まれ。花火で有名な新潟県長岡市に育つ。フリーの編集者兼ライターとして活動し、両親の病気を受けて帰郷。6年間の介護生活を経験する。



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