天の道は無為自然であり、すべてを動かしている
定本「老子道徳経」の読み方 早島天來編より 人生を最高に生きる老子の言葉 第三十回
★無為自然の強さ
私達人間が目の前の幸せを考えることは、ごく自然な事です。たとえばより効率よく穀物を収穫しようと考えた時、天候異変や害虫に強い穀物を品種改良することは当然です。ですが、自然を人間の力で変えることで得られる利益というのは限界があり、結果としてもっと大きな天地自然の力の前には、人間の力が及ばない世界があることを知る事になります。
そして、最初から天地自然の流れを理解して、方法を選び、自然と調和する道をゆけば、限界にぶつかることなく、幸せを共有し人類発展の道があると「老子」は教えています。つまり私達人間も天地自然のありかたに学び、無為自然の生き方をすればいいと言うのです。たとえば食料問題で考えれば、災害や病害に強い穀物を量産しようとするだけでなく、有るものを皆で分け合う生き方を探し、皆で幸せにゆく道を選ぶ事が大切なのです。東日本大震災の折に、東北の方々が、わずかな食料や水を分け合って、決して奪い合いをせず、じっと空腹に絶えて仲良く過ごされたその生き方は、世界から賞賛されました。日本人の本来持つ、分かち合う共生の心こそ、人類の大いなる智恵と言えるのでしょう。
★豊かな人生へ実践!
天地自然の無為のありかたに学び、豪雪があり、また暖かい日があるように、良い事も、また都合の悪いことも、素直に受けいれて、まずは目の前の小さな譲りあいを実践してみませんか。前へ行こうと思ったときに、ふと人とぶつかりそうになったら、ちょっと止まって道を譲る、そんな小さな譲り合いの心を持って過ごせば、きっと毎日小さな幸せと笑顔が増えて、楽しい日々を過ごす事ができることでしょう。本当の豊かさって、そんな小さな幸せにあるのではないでしょうか。さあ、この春も老子を学んで実践です!
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