みんな大好き森喜朗さん、予想通り「辞してなおも輝く」一部始終
【連載】山本一郎「コップの中の百年戦争 ―世の中の不条理やカラクリの根源とは―」
結果として、川淵三郎さんに対してこれまたネットで盛大に「適性検査」が行われた結果、これはどうもアカン人だという認定がなされて、こちらも無事炎上してしまいます。悲しすぎる。そして、今度は「俺がやります」と後任指名許諾をした川淵三郎さん本人はもちろん、菅義偉官邸筋も東京オリンピック組織委員会もドン引きしてしめやかに「後任に指名されても拒否する」という発表と共にしめやかな局面を迎えました。まさに、栄光ある役職であるはずの東京オリパラ組織委員会会長という地位が、実に見事な貧乏くじの総称としてババ抜きよろしく後任人事そのものが宙に浮くのであります。
我が国固有の価値観であるダチョウ倶楽部メソッドからすれば、川淵三郎さんが「俺がやります」と言ったら、次か、その次に「じゃあ俺が」と言った人に世間から「どうぞどうぞどうぞ」と背中を押されて無事に熱湯風呂入湯という伝統芸能が披露されることが期待されるわけです。この辺でマイノリティでオリンピック誘致に功績のあった滝川クリステルあたりが背中を押されて熱湯に落ちると小泉進次郎以下全国民が万歳三唱をもって東京オリンピック開催へと世論が傾く一発逆転もあるのではないかと思うんですよね。
しかしながら、それ以外の人選でいうと橋本聖子さんや丸川珠代さんなど、いわゆる「わきまえている女性」が次々と浮かんでくるため、あまりパッとしません。本来なら順当に橋本聖子さんでどうよとなるはずが、先般の元フィギュアスケート選手・高橋大輔に強引にキスした騒ぎなどを見るに蒸し返されてしまうこと必至です。それを思うと、どんなに批判されても四面楚歌でも構わず国民全員のパブリックエネミーとして君臨し続けた俺たちの森喜朗という存在の大きさを思い知る次第です。
何しろ、
ガースー官邸「他にいないし森喜朗続投で。小池百合子いちいち出てくるな」
文部科学省「もうちょっと規律的な組織運営体制を」
医療関係者「ワクチンも接種進まないのに開催するのマズくね?」
小池百合子「アテクシの出番はどこにあるの」
左派マスコミ「東京五輪は腐敗してる。中止しろ」
国民「うぜー、いい加減どうにかしてくれ」
と社会全体が右と左に分かれて大論争だった所へ、森喜朗さんがスピーチしただけで
ガースー官邸「森喜朗やめろ」
文部科学省「森喜朗やめろ」
医療関係者「森喜朗やめろ」
小池百合子「森喜朗やめろ」
左派マスコミ「森喜朗やめろ」
国民「森喜朗やめろ」
という具合に社会の分断を防ぎ、国民も企業も役所もマスコミも一致団結して森喜朗批判で一丸となれたというあたりに真骨頂があるんですよ。ありがとう、俺たちの森喜朗。