寝すぎると認知症に!?「昼寝」の注意点
【睡眠負債】を枝川義邦氏が徹底解説2/3
■30分以内。コーヒーを飲む。効果的な昼寝のコツ
トオル 昼寝! やっぱりいいんですね。
シズカ 注意点はありますか?
枝川 あまり長く眠りすぎないこと。30分以内に収めるのが鉄則です。深く眠りにつける環境であれば、10分~15分も眠れば十分なんです。ダラダラと長く寝るのではなく、ガッツリと深く寝ること。昼寝の時間は30分以上とってしまうと、今度は本格的な睡眠に入ってしまい、起きた後に脳がうまく働かなくなってしまいます。
シズカ 要は寝すぎてはだめなのね。
枝川 少し怖い話があります。高齢者を対象とした調査で、1日30分以内の昼寝の習慣がある人は認知症に罹る率が普通の人の5分の1になります。しかしそれが1日1時間以上に延びると、認知症に罹る確率が今度は2倍に高まるのです。さらにこんな調査の結果もあります。寝起きの認知テスト(Brooks & Lack, SLEEP 2006)の結果を10分寝た人、20分寝た人、30分寝た人でとると、10分と20分の人は成績が良いのですが、30分以上寝た人は成績が悪くなっているんです。
シズカ そんなにはっきりとした差が出ているなんて驚きだわ。
枝川 あまり長く寝てしまうと起きた後も「睡眠慣性」と言って、脳がそのまま寝ていようとします。だから起きた後もぼーっとしてしばらく頭が働かなくなる。とにかく昼寝は寝過ぎないことが重要です。
トオル 短くてもいいっていうのは逆に取り入れやすいかも。
枝川 もう一つ昼寝のヒントを話しましょう。眠る前にコーヒーを飲んでみるのがよいのです。なぜ「前」がいいかと言うと、人間が口から飲んだものが腸で吸収されて脳に届いて効いてくるまでに30分くらいかかります。昼寝をしようとする前に飲むとすると、そこから5分、10分眠りに入るまでにうつらうつらして、眠ります。そしてそこから15分後ぐらいに徐々にカフェインが効き始めます。このタイミングがちょうどいいのです。カフェイン効果で、深い眠りになる前に目を覚ますことができますし、起きた後もスッキリしていられるんです。
シズカ 私コーヒー好きなんです! 早速明日からやってみよっと。
枝川 はい。コーヒーが苦手なひとは玉露や濃い緑茶など、カフェインが多く入っている飲み物がよいですね。これが習慣化できれば、午後のパフォーマンスも見違えてくるはずですよ。