いかに「アベノミクス」が役立たずであるか
古賀茂明×望月衣塑子が「独裁者」を斬る!①
■世界のモノサシで日本を見よ!
古賀 目を真実に向けてもらうためには、私は、日本からではなく、世界という尺度で物事を見て欲しいと思っています。同じことが、まったく違って見えます。あらゆる数字が物語ってくれます。
望月 日本の2016年のGDP(GrossDomesticProduct)は4兆9386億ドルで、世界3位。第1位はアメリカの18兆5691億ドル、第2位が中国で11兆2182億ドルとなっています。
古賀 ここで「やっぱり、日本は経済大国だ」と安心してはいけません。ついこの前中国に抜かれたと思っていたら、いまや、日本は中国の半分もないんですよ。国民の豊かさの代表的指標のGDPを見ると、2016年に日本は先進国では下の方の第22位。ちなみに、第1位はルクセンブルク、アメリカは第8位、シンガポール第10位、韓国は第29位、中国は第75位です。国民一人ひとりの豊かさを語る数字としては、一人当たりを見る方が良いのは明らかです。「一人当たり」の日本のGDPは、1990年代はずっと順位一桁をキープしていて、2000年はルクセンブルクに次いで第2位だったこともあることを考えると、かなり下がってきているわけです。
それから、一番若者が喜んでいる、最低賃金が上がってきたという点。前も触れましたが、東京の最低賃金は958円(2017年10月1日)です。経済財政諮問会議で、1000円にするということが話題になりましたが、アメリカでは2018年までに州ではニューヨークなどが、都市ではサンフランシスコやシアトルが15ドルに引き上げるそうです。日本円にすると約1700円(1ドル=113円で計算)。東京もサンフランシスコも、国内では元気が良い都市ですが、サンフランシスコでは2017年でも14ドル、113円で換算して1582円。「東京はその6割ぐらいの958円です、と言うと、「えっ、そんなに安いの?」という話になるわけですよ。