日本人が本当に「幸せ」になるヒント
レイア高橋×前野隆司スペシャル対談①
■腸を通して大地とつながる
L:日本人がもっともっと幸せになっていくためには、人と比べず、自分の個性をもっと活かしていく。皆と同じことをしていたら良いという時代から、自分が自分らしくあり、それが自由にできる社会が実現したら、より幸せになるきっかけをつかめるのではと思います。
ハワイの大自然の素晴らしさを知っていただきながら、そのなかで、人と同じでなくても良いから、とにかく本当に自分がやりたいこと、できることに気づいていただけたら嬉しいです。自分の心を満たし、個性を伸ばしていけたらもっと幸せになれると思います。
M:おっしゃる通りです。私が幸福学でやりたいことがまさにそれなんです。ひとりひとりが自分らしく生き、なおかつ、多様な人がつながり合うのが幸せであり、それは統計学的にも証明されています。私はそういう世界を創りたいと思っているんです。ところで、ハワイで「しあわせ」は、なんというんですか?
L:少しずつ違うんです。Happyは瞬間的なものを表すので、深い喜びを伴ったものとは違うように思いますね。その意味では、joyがもっとも近いでしょうか。湧いてくる喜びのような感じです。
M:なるほど。ハワイ語ではどうでしょうか?
L:ハワイ語もたくさんありますけれど、自然で正しい状態、もともとの状態。つまり、曲がったり歪んだりしていない状態が「ポノ」という言葉です。つねにぶれない「ポノ」の状態にいることが、グラウンディングができて、心も安定し、幸せな状態につながっていると言えます。もともとの状態、自然な状態に戻すというのが「ホオポノポノ」です。
M:ホオポノポノにはそういう意味があったんですね。
L:ハワイアンにとっては自然にあるものすべてが大事ですが、まず自分自身の感覚としてとらえられたのが、お腹でした。
お腹がしっかりと据わっていたら、地球とつながることができる。グラウンディグし、大地からのパワーをいただくことができます。お腹に重心をしっかりと置き、いまこの瞬間に幸せを感じて自信をもって生きていくためには、腸の健康がとても重要です。腸の大切さについては、古代ハワイアンが説いてきた心身の健康のエッセンスのひとつなのです。
M:まさに最近、科学的にもわかってきた「腸能力」そのものですね。
通常、我々が「脳」と呼んでいるのは神経が固まっている頭の部分だけを指しますが、神経は全身につながっていていますから、身体のすべてが脳なんです。
英語では「ニューロサイエンス」と言いますから、私は「脳神経科学」と呼んでいます。つまり、脳だけでなく腸も含めて、神経のサイエンスなんですね。脳科学という言い方は、言葉としては間違っているんです(笑)。
しかも、腸はいろんな生物と共生しているでしょう? 自分だけでなく、細菌ひとつひとつが生きていて、まさに腸を通して大地とつながっているんですね。
L:はい。ロミロミのなかにはこの腸を癒す、働きを整えるテクニックとして、「オプフリ」があります。腸をマッサージすることは、心身を整え、感情を安定させ、さらには直感力を高めることにもつながっていくんです。腸のケアに取り組むことで、大地とのつながりも取り戻していけるはずです。
ハワイアン・ドリーム・クリエイションズ(HDC)代表。ハワイを拠点に、ヒーリング・セラピストとして活躍。「ロミロミ」の伝統的スタイル(マナヴァヒ・スタイル)のカフ(継承者)として、ハワイに古くから伝わる生き方の哲学「フナの教え」に基づいた質の高い教育プログラムを提供している。古代ハワイアンの歴史や文化をはじめ、浄化のための瞑想法、呼吸法、チャント詠唱法などを伝えるほか、世界各地で聖地ツアーを主催。地元ハワイの教育テレビ番組で古代ハワイ文化のスピリチュアリティを伝える講師として活躍するなど、心と体の癒しを求めるすべての人に愛のエナジーを送り続けている。著書に『癒しのパワースポット』シリーズ、『フラ・カヒコ 魂の旅路』(いずれもアールズ出版)、『宇宙に愛される幸運エナジーの法則』(WAVE出版)、『ハワイ式腸のマッサージ』(KKベストセラーズ)などがある。https://www.aloha-hdc.com
前野隆司
1962年山口県生まれ。84年東京工業大学卒。86年、同修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。2011年より同研究科委員長兼任。研究領域は、ヒューマンロボットインタラクション、ハプティックインタフェース、認知心理学・脳科学、心の哲学・倫理学から、地域活性化、イノベーション教育学、創造学、幸福学まで。著書に、『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房)、『錯覚する脳』(筑摩書房)、『幸せのメカニズムー実践・幸福学入門』(講談社現代新書)など。近著に『無意識の力を伸ばす8つの講義』(講談社)、『実践 ポジティブ心理学』(PHP新書)などがある。共著も多数。http://www.sdm.keio.ac.jp/faculty/maeno_t.html
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