2040年。IoTで変わるモノの形、わたしたちの生活
特集「2040年のモノ」巻頭言
■あなたは30年前の電話を覚えているか?
「スマホがない時代」を覚えているだろうか。
アラフォー世代が子供の頃は、まだ黒電話の家庭も多かった。「物心ついた時の記憶にある電話は黒電話」と都内在住の38歳男性は語る。文字で気持ちを伝えたいときは手紙しかなかった。
そこに現れた携帯電話。
今から30年前、ショルダーフォンという携帯電話の原型が出来ていた。平野ノラのあれである。ただ当時は3kgもする大型のシロモノでお世辞には使い勝手はいいとは言えず一般的なものではなかった。料金も初期費用が30万円近く、月額使用料も2万3000円からという高嶺の花だった。編集者の都築響一氏は「バブル紳士のアクセサリー」と表現している。
その後、ガラケーという日本独特の形へと進化し一気に普及。2001年末には人口普及率が60%を突破した(総務省データ)。そして2010年代からは、iPhoneに代表されるスマートフォンが市場を席巻。単なる電話としてではなく、メールやラインなどで文字機能も備える。そして、ときにお財布や本の代わりにもなる多機能さで、わたしたちの生活必需品になった。
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