バツイチだったノムさん。「女運があったとは思えない」とボヤキ節
野村の哲学ノート②
■結婚は全く後悔していない
しかし、どんな困難が待ち受けていても、どれだけ迷惑を掛けられていたとしても、私は沙知代と別れたいと思ったことは一度もない。
息子の克則からも、
「なんで結婚したの? どうして別れないの?」と聞かれたことがあるのだが、夫婦の数だけさまざまな形があるように、夫婦のことはその夫婦にしかわからないものだ。
生前、沙知代はこんなことを言っていた。
「夫は牛若丸で、私は弁慶。いつもこの人の前に立ちはだかって、『矢でも鉄砲でも持ってこい!』と言って、守り通してきたの」
その言葉の通り、一生懸命尽くしてくれて、野球しか能がない男のために野球だけに集中できる環境を作ってくれた。私にとっては本当にいい奥さんだった。
今のところ、「沙知代にもっとこうしてあげればよかった」という気持ちは抱いていない。衣食住すべてで何の不満もなかっただろうし、克則といういい子供にも恵まれた。女性として母親として、沙知代は幸せな人生を送ることができたのではないかと思う。
(『野村の哲学ノート「なんとかなるわよ」』から構成)