非正規労働者は使い捨て「階級社会」の到来
【階級社会】を橋本健二氏が徹底解説1/2
■富めるものはますます富み、貧しきものは…
トオル…なんか最近、「日本が格差社会だ」っていう風潮ない?
シズカ…確かに。でも、具体的に何が問題なのかがピンときてないの。
トオル…そういえば、『新・日本の階級社会』っていう新書がベストセラーになっているんだって。著者で社会学者の橋本健二先生なら分かりやすく答えてくれるかもしれないよ。
シズカ…あっ、この本ね。「もはや“格差”ではなく、“階級”」だって。橋本先生、「階級社会」について教えてください!
橋本…「階級」というのは、仕事や生活のあり方がそれぞれ違う、人々の集まりのことです。階級はどんな社会にも存在するのですが、今の日本では、その階級と階級との違いが非常に目立つようになってきています。だから「階級社会」と言うことができます。高度経済成長期の終盤からバブルあたりまでは、それほど違いがありませんでした。
トオル…日本は昔「一億総中流社会」だった、って聞いたことがあります!
橋本…そこから変化が起こったのです。まずピラミッドの頂点の方で言えば、お金持ちがますますお金持ちになっている現状があります。高度経済成長期までは、大企業の社長でも年収2000~3000万円という世界。せいぜい普通のサラリーマンの数倍程度の収入でした。それが今は大企業の社長は年収が億単位にまでなっています。一方年収200万円以下という非正規労働者も増えていて、違いが目立つようになっています。
シズカ…富めるものは富む一方で、貧しい人も…。
橋本…重要なのは、結婚して子供を産み、家族を育て、一通りの耐久消費財を備えてそれなりに豊かな生活を送る――。こうした「共通の生活様式」が成り立たなくなっていることです。事実、経済的な理由で結婚できない人や子供を産んで育てることができない人が人口の2~3割もいます。
シズカ…当たり前のことが当たり前にできないって悲しいですね。どうしてこんな社会になってしまったんでしょう。。
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