覚えてる? ジョーダンが野球に転向した衝撃の1993年【エアジョーダン秘史(9)】
1985年の1stモデルから今なお続くレジェンドバッシュのヒストリー。
第9回は、1993年発売の「AIR JORDAN 9」。
アウトドアシューズ風のデザインを持つAJ9は、MJ(マイケル・ジョーダン)とともに4度目のNBA制覇を目指すモデルになるはずだった。しかし、'93年のシーズンオフにMJは突如NBAを引退し、MLBに挑戦することを表明。シリーズ初の“MJがコートで履かないAJ”となってしまった。
MJ突然の引退によって
主を失った悲劇のモデル
見た目はシンプルだが、機能面は大幅に進化
ブルズがスリーピートを達成した'92-'93シーズンのオフ、大きな目標を達成したMJは、バスケットへの情熱を失いかけていた。そして、そんな想いを抱いていた彼を思いがけない悲劇が襲う。'93年7月22日に家を出たまま戻らなかった父のジェームズが、8月3日に遺体となって発見されたのだ。それから約2ヶ月後の10月6日、MJは記者会見を開き、正式にNBAからの引退を発表する。そして、翌'94年春には「父の夢だったメジャーリーガーになるために」シカゴ・ホワイトソックスのキャンプに参加したーー。このような経緯でAJ9は、突然主を失ってしまったのだ。
デザイン的にみると、このニューモデルはそれまでのAJとはまったくイメージの異なるモデルに仕上がっていた。見た目はバッシュというよりも、アウトドアシューズのようで、アッパーに使う色も1色、もしくは2色というシンプルさだった。また、ヒールには地球をバックにしたジャンプマンロゴが入り、アウトソールには(「世界スポーツ」という日本語を含む)世界中の言語が刻まれている。
ただ、テクノロジーの面では前作よりも格段に進歩し、フィッティング面ではクイックシューレーシングシステムを初採用。これは、プラスチック製のシューレースホルダーと(すべりの良い)丸ヒモを使うことで素早くシューレースを締め上げるというシステムだ。さらに、ヒールにはシャンクが初装備された。
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