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宇野常寛が「今まで会った中で一番緊張した人物」は?

宇野常寛さん3月毎日更新 Q10. 「今まで会った中で一番緊張した人物は?」

「BEST T!MES」連載30問30答、3月は宇野常寛さんを特集! 自ら企画ユニット『PLANETS』を主宰、近年はメディアでの活躍も増える中、評論家として最新作『母性のディストピア』が大ヒット中。多彩な活動を続ける彼の「素顔」に30の質問で迫ります。

僕にとって一番刺激的な存在です

 

 『機動戦士ガンダム』シリーズなどの監督されている富野由悠季監督ですね。「富野監督について書くために評論家になった」と言っても過言ではない人間なので、かなり緊張しました。初めてお会いしたのは2009年で、テレビ番組でご一緒する機会がありました。それまで僕の著書を一方的に送らせてもらっていたので存在は認知されていたんですけど、実際にお会いしたのはそのときが始めてですね。

 番組のテーマは「インターネットのクリエイティビティーのあり方」といったもので、僕は出演者でもありながら、ちょっとブレーン的に裏方もやっていたんですよ。その事前打ち合わせみたいな感じで、富野監督のお宅に訪問して。「ずっと憧れだった人に初めて会うのが自宅かよ!?」と思いましたね (笑)。

 

 富野監督とはそれから何度か仕事をご一緒させてもらっています。それに、『母性のディストピア』などの著書のなかでも評論していますね。リスペクトしていますが、すべて肯定するのではなく、言うべきことは言うスタンスです。やっぱり僕は評論家ですから。実際に、立教大学のシンポジウムでは結構やり合いました。でも、それは前提として、彼の残しているもの、彼の仕事に対して絶対的なリスペクトがある上での批判です。もちろん、富野監督からも反論はたくさんもらっています。作家と評論家というのは、本来そういう関係じゃないといけないと思うんですよね。

 「尊敬している人」も富野監督。表現のプレーヤーとして、ジャンルの可能性や表現の可能性を広げていった人というのは、僕にとって一番刺激的な存在なんですよ。そのジャンルの爛熟期に完成度の高い作品や、隙の無いものを作る人たちもたくさんいて、それはそれで凄いと思うんです。でも、僕は後者のほうにはあんまり興味が沸かないんですよね。『母性のディストピア』で宮﨑駿、富野由悠季といった主に70年代や80年代に活躍した作家たちを取り上げているのはそういう理由もあります。 

〈明日の質問は…… Q11.「文章を書くときのこだわりやルーティン、情報のインプット法はありますか?」です。〉

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宇野常寛・著母性のディストピア

 

宮崎駿、富野由悠季、押井守--戦後アニメーションの巨人たちの可能性と限界はどこにあったのか?

宮崎駿論4万字、富野由悠季論10万字、押井守論10万字の作家論を中核に、アニメから戦後という時代の精神をいま、総括する。
そして『シン・ゴジラ』『君の名は』『この世界の片隅に』――現代のアニメ・特撮が象徴するさまよえるこの国の想像力はどこにあるのか?

『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』とその射程を拡大してきた著者の新たな代表作にして、戦後サブカルチャー論の決定版。

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宇野 常寛

うの つねひろ

評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。企画・編集参加に「思想地図 vol.4」(NHK出版)、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)など。京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、立教大学社会学部兼任講師など、その活動は多岐に渡る。


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母性のディストピア
  • 宇野 常寛
  • 2017.10.26