「ショルダーフォン」から「スマホ」へ。30代に突入した携帯電話
30年間で通信機器はこんなに変わった〈後編〉
他者との円滑でリアルタイムのコミュニケーションは人間が持つ根源的な要請と言える。この要請に答えるべく固定電話、ファクシミリ、携帯電話などの通信機器が独自に発達してきた。「2040年のモノ」を考えるために、いままでの進化の歴史を過去30年スパンで振り返ってみよう。〈前編『子供の頃家にあった「黒電話」はいつ消えた?』につづく後編〉
■3キロもあった30年前の携帯電話
1985年に、 NTT が国内初のポータブル電話機「ショルダーフォン」を発売。ショルダーフォンは現在の携帯電話とは似ても似つかぬ形状で、鞄のように肩からかける必要があった。重量は3キロもあり、「携帯」というよりは「運搬可能な」電話機という位置付けだったようだ。
そして1987年4月に携帯電話サービスが開始される。その携帯電話1号機「TZ-802型」でもまだ重量は900グラムあり、手軽なものではなかった。
1991年4月には、超小型携帯電話「ムーバ」が発売し、携帯電話は徐々に小型化していく。1998年には「小さい」「軽い」「長時間使用が可能」を特徴とするPHSが登場。「ピッチ」の愛称で、学生を中心に人気を博した。
2000年台になると携帯電話は、一気にわたしたちの身近なものとなっていく。総務省の調査では、2000年度末に初めて人口普及率が50%を超える。
そして2000年代後半からは大きな転機を迎える。それまで主流であった折りたたみ式の「ガラケー」から、大型ディスプレイとタッチパネルを備えた「スマートフォン」への進化だ。2016年には、世界市場に出回っている携帯電話の55%以上がスマートフォンであるとの調査結果が出ている。国内でも既に、従来のガラケーを製造するメーカーはほとんどなくなっている。
「スマートフォン」はWebの閲覧、SNS の利用、カメラ、無線通信用ルーター(テザリング)、小型ゲーム機など電話以外の用途で活躍するシーンが急増していることも見逃せない。端末自体の処理能力も年々上がっており、一昔前のPC上の処理能力を持つ端末が増えている。今やITを使ったコミュニケーションの主役は、スマートフォンと言っても過言ではない。
- 1
- 2