「電子マネー」あなたはいつから使い始めた?
30年間でお金はこんなに変わった〈前編〉
■0.1秒以内に処理する…FeliCaの技術のスゴさ
日本の電子マネーにおいて特筆すべき技術は、ソニーが開発した「FeliCa」(フェリカ)という非接触ICカード技術だろう。今あるクレジットカードにも搭載されているICカードは馴染み深いと思うが、その読み取りを非接触で行える技術である。
特徴はなんといっても、処理能力の速さにある。クレジットカードの読み取りとは比べ物にならない。JR東日本をはじめとする鉄道会社や流通業界なども採用したため大ヒット。ちなみにSuicaがFeliCaを採用する際に課した条件が「0.1秒以内に処理する」というものだった。駅の改札はスピーディーに大量の乗客を処理しないといけないからだ。改札で何秒もかかっていたら混雑してしまうため、この条件が課されたのだが、FeliCaは悠々とクリア。結果、2001年から正式採用となっている。
その後、2004年になるとFeliCaをアレンジした「モバイルFeliCa」が登場。これを採用した携帯電話がドコモから発売される。いわゆる「おサイフケータイ」である。これによって電子マネーは一気に市民権を得た。モバイルSuicaやドコモのiDなども登場し、日本における電子マネーの利用率向上に大きな影響を与えた。
日本銀行決済機構局が2017年2月に公表した「決済動向」によると、電子マネーの決済金額は2016年に5兆円を突破した。2015年比11%増の5兆1436億円、件数は前年の11%増となる51億9200万件。いずれも右肩上がりを続けており、さらなる増加も予想されている
忘れてはならないのは、これら電子マネーは決済手段の一つでベースにあるのは当然、紙幣や硬貨といった「形ある」法定通貨だ。しかし、近い将来この法定通貨も電子化し「形をなくす」かもしれない。
後編では、法定通貨のデジタル化を考える。
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