【2040年のモノ】EV化で、自動車産業はかえって衰退する
2040年の「自動車」を想像してみる〈後編〉
■自動車市場は衰退してくのか
──個人的には、安易に今の風潮に流されずに、日本は既存技術=ガソリンエンジンベースのハイブリッド化で勝負した方が、スマホや家電製品で日本企業が衰退したような轍を踏まないような気がしているんですが。
松田:確かに、このEV問題がどう着地していって、みんなが幸せな生活を続けながら次の時代に移行するかは大切な問題だと思います。でも、オイルショックを経験したり、戦後直後の両親世代などを見てきた身としては、日本が石油に頼らないエネルギーを獲得するという意味で、電気はアリ、EVはアリだと思います。でも、バッテリー技術のブレイクスルーは将来的に絶対必要でしょうね。
──その技術革新で日本が世界をリードすれば、ビジネスチャンスも広がると。
松田:そういうことも言えるでしょうね。
──現実的にEVはまだ全然未完成。少なくとも現行ユーザーの方々は身にしみている。でも大手メディアはもうガソリン車じゃないと喧伝する。そうすると、ユーザーはEVはまだ様子見だけど、ガソリン車はもう数年後には使えないかもしれない。そう考えると結果、新車は当分買わない方がいいかもと判断する人も増えるんじゃないかと思うんです。それって国内の自動車市場を衰退させてしまうのではないかと。
松田:資本主義って、無駄なものを作らないと人々が潤わないというか、なんでも効率、コスパという考え方が現在のデフレを招いている一因でもあると思います。都市への人口集中もそうですね。地方が過疎化したことにより、産業が成り立たなくなってしまっている。シンギュラリティーの問題も、効率化で機械が人の代わりをしていくという話で終わると、どんどん失業者が増えていってしまうわけで。
──それが幸せな未来かというと、クルマの未来のかたちがどうなるか? よりも重要な問題になってくるような気がしますね。