評論家・宇野常寛が見た「2018年の大学生」
宇野常寛さん3月毎日更新 Q21. 「今の大学生に感じることは?①」
「大学生のコスプレをしている大学生」が多い印象ですね
今の大学生って、僕が大学生だったのときと変わっていないと思うんですよね。それは悪い意味で。特に知的でイケてる大学生は「馬鹿なふり」をしないといけない文化がいまだに強いじゃないですか。例えば、ウェイウェイ騒がないといけないみたいな。ああいうのって、80年代に作られたものなんですよ。そもそもは、上の世代へのカウンターとして僕が子どもの頃の時代に作られたものだった。それなのに、ある時期からカウンター精神などを忘れて本当の馬鹿になっちゃったんです。ちょうど、僕が大学生になった頃ってその文化が衰退し始めた頃だったと思いますが、衰退していくなかで、それに代わる学生のカルチャーはできなかった。
僕は大学で講師もしていますが、今の大学生たちに教えていて思うのが、「大学生のコスプレをしているような大学生」が多すぎるということ。本気でそれを楽しいと思っているわけではないけども、「大学生ってそんなもんだろう」と思って過ごしているということですね。本当は「授業なんて単位さえ取れればいい」と思っているのに、とりあえず授業には真面目に行く。そこまで楽しいわけじゃないのに、メインの人間関係が学校内にしかないからサークルに行っている。あとは「大学生だから何かアルバイトしなきゃ」と思って、そんなに興味がないアルバイトで働いている。
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