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宇野常寛が提唱する「遅いインターネット計画」とは?

宇野常寛さん3月毎日更新 Q23. 「今、一番気になっているメディアのジャンルは?」

「BEST T!MES」連載30問30答、3月は宇野常寛さんを特集! 自ら企画ユニット『PLANETS』を主宰、近年はメディアでの活躍も増える中、評論家として最新作『母性のディストピア』が大ヒット中。多彩な活動を続ける彼の「素顔」に30の質問で迫ります。

今のインターネットメディアは「速すぎる」

 

 僕がここ数ヶ月間ずっと思っているのは、「遅いインターネット計画」をやろうということです。インターネットメディアの特徴の1つにスピード感や速報性があるわけですが、その一方で、ツイッターを中心に「速すぎる」と思うんですよ。というのも、基本的に1週間くらいのスパンで誰かが誰かに対してダメ出しをしているじゃないですか。炎上ネタで生贄を1人決めて、みんなで寄ってたかって石を投げていますよね。しかも、文化人なんかはその論調に逆張りすることでポイントを稼いでいる。こんな風に本当にしょうもない状態になっているんですよ。ワイドショーはこの間まで、不倫問題や相撲の問題などに時間を費やしていましたけど、はっきり言ってしまえば、ツイッターは「ワイドショーの2軍」ですね。そういったものに全く価値は感じませんし、今のインターネットの世界では速すぎる気がします。やっぱり世界中の誰もが“好きなときに好きなようにアクセスできる”というインターネット本来の形を取り戻したいんですよね。

 

 だから僕は今年1年ぐらいでしっかり準備をして、来年ぐらいからウェブマガジンをやろうと思っています。タイムラインにあふれてくる炎上ネタよりも、ネットサーフィンみたいなものをもう1度取り戻したくて、グーグルの検索に引っかかりやすい所に良質な読みものを置いていくという運動です。だから“遅いインターネット計画”なんですよ。

 作るにはお金も必要になるので、集めないといけないと思っていますね。だからオンラインサロン(ウェブ上で展開される月額会費制のクローズドコミュニティ。 作家や実業家、アスリートなど、優れたスキルや経験を持つ人らが主宰者となり運営している)も始めようと思っていますし、企業スポンサーも集めようと思っています。まあ、動画サイトを一から作るわけでもないので、そんなにたくさんのお金がかかるものではないでしょうけど、地道にやっていこうかなということを思っていますね。

〈明日の質問は…… Q24.「メディアのあり方は変わっていくと思いますか?」です。〉

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宇野常寛・著母性のディストピア

 

宮崎駿、富野由悠季、押井守--戦後アニメーションの巨人たちの可能性と限界はどこにあったのか?

宮崎駿論4万字、富野由悠季論10万字、押井守論10万字の作家論を中核に、アニメから戦後という時代の精神をいま、総括する。
そして『シン・ゴジラ』『君の名は』『この世界の片隅に』――現代のアニメ・特撮が象徴するさまよえるこの国の想像力はどこにあるのか?

『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』とその射程を拡大してきた著者の新たな代表作にして、戦後サブカルチャー論の決定版。

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宇野 常寛

うの つねひろ

評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。企画・編集参加に「思想地図 vol.4」(NHK出版)、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)など。京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、立教大学社会学部兼任講師など、その活動は多岐に渡る。


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母性のディストピア
  • 宇野 常寛
  • 2017.10.26