ブルーボトルの熱狂…現代人はなぜ行列してまでコーヒーを飲むか
30年間で「嗜好品」はこんなに変わった〈後編〉
■「サードウェーブ」ブルーボトルコーヒーの登場
2010年代には、コーヒー界にサードウェーブが訪れる。きっかけは、ブルーボトルコーヒーの日本出店だ。清澄白河の第一号店に長蛇の列ができた様子はメディアでも度々取り上げられ、記憶に新しいところだろう。

「サードウェーブコーヒー」の火付け役となったブルーボトルコーヒー。2015年の上陸当初は、連日行列ができた
(写真:AP/アフロ )
(写真:AP/アフロ )
コーヒー豆の産地や生産工程、淹れ方におけるまで一貫した管理がなされ、一杯一杯のコーヒーを手間暇かけて作り上げるコーヒーはスペシャリティーコーヒーと呼ばれるが、このスペシャリティーコーヒーこそサードウェーブを特徴づける最大のもの。ブルーボトルコーヒーの創業者が日本のカフェ文化に影響を受けたと述べているように、もともと日本には丁寧にドリップして一杯のコーヒーを作る喫茶店が古くから存在しており、コーヒーファンにはそれほど目新しいものではなかったが、大手チェーンがスペシャリティーコーヒーに進出したり、若者の間でドリップコーヒーが流行ったりと、新たなコーヒー嗜好者を開拓したことは確かだ。