京王電鉄初の有料座席指定列車「京王ライナー」初体験乗車 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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京王電鉄初の有料座席指定列車「京王ライナー」初体験乗車

2月22日デビューの有料座席指定車に体験乗車

 車内では、静かにBGMが流れている。指揮者の和田一樹氏が作曲したオリジナルなクラシック系の音楽とのことで、落ちついた上質な感じが好ましい。発車間際に駆け込んできた人を含めて3号車の乗客は10人ほど。定員が40名だから、かなり空いている。まだまだ認知度が低いのか、週末のこの時間に帰宅する人は多くないのか。ちょっと淋しいけれど、ゆったりと優雅な旅気分が味わえるのは好ましい。もちろん隣の席には誰もいない。また、前の座席の下に電源コンセントが2つあるので、隣の人に遠慮することなく使うことができるのは嬉しい。

コンセントは全席についている

 発車メロディーもオリジナルな耳慣れないもので新鮮な響きだ。次の停車駅は府中。特急停車駅の明大前も調布も通過である。しばらく地下を走り、笹塚の手前で地上に顔を出す。見慣れた街の風景だが、クロスシートからの車窓はひと味違う。府中到着までの22分、この空いた状態で過ごせるとは何と贅沢なことだろう。車掌が車内を巡回し、座席をチェックして回る。予約した席に座っていれば、何も言わないで通り過ぎるだけだ。指定券を買わないで乗っていると通常の400円ではなく、700円請求されるとのことだから、面倒くさがらずに指定券を買ってから乗車したいものである。

新宿の次の停車駅は府中

 特急停車駅の明大前は通過のはずだが、一旦停車した。ドアは開かないので運転停車である。電車を待っている人たちが好奇の目で車内を見まわすので、ちょっと恥ずかしい気分だ。早く発車してくれないかなと思う。幸い30秒ほどの停車で動き出した。
 かつて通勤で10年以上も乗り降りした下高井戸、桜上水を過ぎ、高架に駆け上がって環八通りを越える。すぐにジェットコースターのように高いところから地上へ駆け下りて芦花公園、千歳烏山と四半世紀前に暮らしていた馴染みの場所を目もくらむような速さで通過。調布市内に入ると車窓の緑が増え、つつじヶ丘を通過して地下へもぐって調布へ。駅の手前で最徐行したので、明大前と同じく運転停車するのかと思ったら、逆にぐんぐんスピードを上げて特急停車駅の調布を無視するように通過して行った。
 再び地上に出て、サッカー観戦客でごったがえす飛田給を通過、武蔵野台を過ぎ、西武多摩川線の単線の線路を越え、少し徐行して東府中で競馬場線と分かれると高架になって府中に到着した。

東府中では競馬場線が分岐

 府中では何人も下車し、それと入れ替わるように7~8人が乗ってきた。座席指定区間は府中までで、ここからは乗車券だけで乗れるのだ。だからだろうか、普通の電車と同じ感覚で座ろうとしない人がいる。席はたっぷり空いているのにドア付近にもたれかかっている若者の姿も目につく。車内からは、これまでの優雅な雰囲気は消え、京王線の日常風景が戻ってきた。
 続いて分倍河原に停まり、夕陽にきらめく多摩川を渡ると聖蹟桜ヶ丘。頻繁に停車するようになったが、各駅からは、それほど大挙して乗ってくることはなく、降りる人の方が目立つかもしれない。

多摩川を渡る
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