植物を活かすサスティナブルな社会。鍵は過去にある。【植物採集家の七日間】
「世界のどこかに咲く植物を、あなたの隣に。」連載第6回(最終回)
世界のどこかに咲く植物を、あなたの隣に。
ここではないどこかに行きたい。自分ではない誰かになりたい。
憧れや夢という非現実を見ることは、不思議と現実を強く生きる力を与えてくれるものです。
旅で出会った植物と人間の叡智をお届けします。
「植物採集の七日間」連載第6回(最終回)は「植物を活かすサスティナブルな社会。鍵は過去にある。」。
自分にとってかけがえのない時間を作りだしていくこと、多幸感あふれる瞬間を鮮やかな記憶として刻んでいくこと……。
そんな知恵と植物が切り開く未来について語ります。
※以下画像をクリックして動画をご覧下さい。
第6回 最終回
植物を活かすサスティナブルな社会。鍵は過去にある。
– My Life with Plants. Make a Social Contribution. –
■私のボタニカルウエディング 植物で彩る人生の節目
新緑の美しい頃、結婚式を挙げた。「自分の手で思うままの美しさをつくり上げてみたい。」というわがままは、「ボタニカルウエディング」という結婚式で実現する。
人生で最も味わうべき幸せな瞬間に、見栄や忖度といった余計なものは一切いらない。たった1日のために贅沢の限りを尽くすのも結婚式の醍醐味。だが、私は夫と一緒に、必要なものだけを一つずつ、丁寧に選んでいった。私の人生の軸には植物がある。節目である結婚式を彩るのも支えるのも植物だ。
「新しい生活様式」に沿った結婚式ではなく、本当に自分たちの望む結婚式を実現できる時代。新型コロナウイルスの影響で、集められるのは少人数となる。会食の実施も難しいため、神社での挙式とプレゼントを渡すだけのささやかなものとなった。やむをえない制限があるようにみえて、本当に必要なことだけを厳選しなさいと迫られているようにも感じていた。
■晴れの日を彩る植物たちは日常へ続いていく
目に見えるもの、手に取るもの全てを、植物から生まれるもので溢れさせた。まだまだ先の見えない緊張の続く日々。少しでも温かな気持ちになって欲しいから、ギフトには日常を豊かにしてくれる普段使いのものを選んだ。静岡緑茶とハーブのブレンドティ、柔らかく包み込んでくれるコットンタオル、植物石鹸。豪華ではないけれど、確かな品質と可愛らしい佇まいで寄り添ってくれる植物由来の贈り物だ。
花嫁のブーケとヘアアクセサリーは、結婚式の後にも自宅でドライフラワーとして飾れる花を選んだ。フローリストである友人、猪飼さんは大きな胡蝶蘭を取り外し可能にするブーケを考案してくれた。晴れの日を白の華やかな胡蝶蘭で彩ることと、ドライフラワーとして自宅に飾り、結婚式の思い出を長く楽しむことの両方が実現可能となったのだ。
桜が美しい三嶋大社は、花が散った後の新緑の頃は人出が少ない。屋外であればより一層密を避けられたし、神社ではみな静かになる。何より、夏に向かって茂っていく新緑に力をもらえる。このシーンはずっと私の頭の中にあって、厳かな神社に美しい緑、真っ白の着物姿だった。