書店の「閉店」から生まれた「希望」の話~さらば、小田急ブックメイツ新百合ヶ丘店~
拝啓、本が売れません 第1回
■「本はまだまだ売れるんです」
2時間にもおよぶイベントは大盛況ののちに幕を閉じた。2時間という短い時間の中で、482冊の本が売れた。
1分間におよそ4冊の本が売れた。
15秒に1冊、本が売れた。
小田急ブックメイツ新百合ヶ丘店の閉店を惜しんで集まった作家達にとって、この結果は同時に希望にもなった。限られた時間と少ない告知の中で多くの本が読者の手に渡ったことに、誰もが口々に「幸せな時間だった」「出版不況なんて嘘みたいだ」と語った。
小田急ブックメイツ新百合ヶ丘店の狩野店長は、イベント終了後にこのように話してくれた。
「本はまだまだ売れるんです。たくさんたくさん、やりようがあるんです。うちの店は閉店してしまいますが、今日のイベントが作家さん達の自信になったり、お客様が新しい作家や作品とであうきっかけになることを願っています」
閉店が決まった店舗で行われたたった2時間のイベントの中に、「出版不況」などという言葉は存在していなかった。
イベントに参加した作家の一人として、私はこの事実を《希望》と捉えている。書店の閉店という悲しい出来事が出版業界に身を置く私達に届けてくれた、本を作り続けるための希望だ。
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