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ドイツ軍戦車「パンター」の意図的に作られた“弱点”

陸戦の王者“アニマル・シリーズ”の雄、パンター ~戦車王国ドイツが誇る第二次大戦最強の中戦車~ 第3回

第二次世界大戦期、ソ連軍の優秀な新型戦車「T-34」に対抗するためドイツ戦車開発陣が送り出した、特殊車両番号Sd.Kfz. 171、5号中戦車Panzerkampfwagen Vパンターの活躍を描く連載、第3回。

部隊への配備に向けて出荷されるパンターD型の初期生産型。車体正面向かって左側の縦長のピストルポートはのちにボールマウントに変更され、右側の操縦手窓は廃止される。

■「パンターの牙」は高威力の長砲身7.5cm 戦車砲

 さて、パンターの特徴を見てみよう。
 まず、同車にはドイツ戦車として初めて避弾傾始(意味は2018年02月21日配信の拙稿「無敵重戦車ティーガーI戦記:第3回」を参照のこと)が導入された。その結果、硬い装甲板をただひたすら分厚くして正面からがっしりと敵弾を受け止めるティーガーIまでの装甲防御とは異なり、粘りのある装甲板で斜めに敵弾を受け、靭性と角度により装甲板表面を滑らすことで貫徹を防ぐという装甲防御の考え方に変わっている。

 次が「パンターの牙」こと長砲身70口径7.5cm KwK 42戦車砲である。同砲は本車に搭載するために開発された。とはいえ、ドイツ軍は火砲の開発にかんしてきわめて合理的で、4号戦車初期型用に短砲身24口径7.5 cm KwK 37戦車砲を開発。続いて同戦車後期型用に中砲身43口径または48口径7.5 cm KwK 40戦車砲を開発し、この長砲身70口径7.5cm KwK 42戦車砲へと至っている。
 ちなみに「口径」とは砲腔の口径、すなわち7.5 cm戦車砲の場合は7.5 cmを示すが、砲身の長さを示す際にも用いられ、その場合は7.5cm×24口径とか7.5cm×70口径のように、砲腔の口径にかけた数字で砲身の長さが表される。

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白石 光

しらいし ひかる

戦史研究家。1969年、東京都生まれ。戦車、航空機、艦船などの兵器をはじめ、戦術、作戦に関する造詣も深い。主な著書に『図解マスター・戦車』(学研パブリック)、『真珠湾奇襲1941.12.8』(大日本絵画)など。


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