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ドイツ軍戦車「パンター」の意図的に作られた“弱点”

陸戦の王者“アニマル・シリーズ”の雄、パンター ~戦車王国ドイツが誇る第二次大戦最強の中戦車~ 第3回

 いずれの7.5cm戦車砲も弾薬に互換性はないが、砲腔口径が同じ7.5cmなので、生産に用いられる工具や冶具にはある程度の互換性が得られるという合理化ができた。
 弾薬にかんしても、KwK 42はKwK 40と同じ砲腔口径7.5cmながら使用する弾薬の薬莢が大きく、発射薬が多く充填されていた。そのためKwK 40はもちろんのこと、ティーガーIの56口径8.8 cmKwK 36戦車砲よりも装甲貫徹力が勝っていた。
 なお、この7.5cm 戦車砲各種における関係と同じことが、ティーガーIの8.8 cmKwK 36戦車砲とティーガーIIの71口径8.8 cmKwK 43/2戦車砲の関係にもいえる。

 

 エンジンには、戦車用として定評のあるマイバッハ社のHL210~230系が用いられた。ただ、使用されている平歯車と構造上の関係で、ファイナルドライブのトラブルが起こりやすい傾向があり、これがパンターの弱点のひとつとされることもある。だが別の視点では、あえてファイナルドライブを駆動系トラブルの「緩衝材」とすることで、エンジンにまで損傷を波及させないという意図的な発想での設計ともいわれている。

 こうして誕生したパンター中戦車は、面白いことにD型が最初の量産型となり、続いてA型、G型、そして試作のみに終わったF型と、常識的なアルファベット順を無視して生産されたのだった。なお、全型合計の総生産数は5995両(異説あり)。

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白石 光

しらいし ひかる

戦史研究家。1969年、東京都生まれ。戦車、航空機、艦船などの兵器をはじめ、戦術、作戦に関する造詣も深い。主な著書に『図解マスター・戦車』(学研パブリック)、『真珠湾奇襲1941.12.8』(大日本絵画)など。


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