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“内向き”なドラマが多い今、「モラルなんて関係ない」と抗う古沢良太の脚本

古沢良太さん4月毎日更新 Q14. 「こういうことを書きたい」という脚本家としてのテーマはありますか?

『リーガル・ハイ』(2012年)では法と正義の問題を、『デート~恋とはどんなものかしら~』(2015年)では恋愛力ゼロの男女の恋愛を描き、現在フジテレビの月9枠で放送中の『コンフィデンスマンJP』では信用詐欺が題材の物語を描く古沢良太さん。多様な物語を生み出す一方で、すべての作品に通底するテーマや継続して描きたいテーマなどは持っているのだろうか。
 

 

――古沢さんは様々なタイプの脚本を書かれていますが、「こういうことを書きたい」というご自身のテーマみたいなものはあるんでしょうか?

 

 あまり考えたことがないですね。そのときそのときの自分がやってみたいこと、書いてみたいこと、チャレンジしてみたいことに、なるべく忠実に向き合うということだけを考えています。

――今季放送のドラマ『コンフィデンスマンJP』については、どんなことを書きたいと考えていたのでしょうか。

 今回は何ですかね……。最近、わりとこじんまりした内向きなドラマが多くなり、世の中もモラル等々に対して厳しくなっていると感じていたので、そういうのを木端微塵に吹き飛ばすドラマをやりたかった、ということでしょうか。

――今回のドラマは題材が詐欺ですし、話のスケールも非常に大きいですよね。

 そうですね。不埒な部分や不謹慎な部分も描いて、「モラルなんて関係ねえんだよ!」と言えるような作品にしたいと思っています。エンターテインメントの世界くらいそういうのがないと。

――世の中に息苦しさを感じていたり、そういう空気を嫌だなぁと思っていたりする人が、見ていて楽になるようなドラマにしたいと。

 あと、こういう悪事を働く主人公って、「実は暗い過去を背負っていて……」みたいな設定のことが多いんですが、『コンフィデンスマンJP』の主人公たちは本当に何者なのかよく分からない。過去の人生とかは一切関係なく、ただ毎回集まって、莫大なカネを騙し取っていく人達です。ジメジメした雰囲気が一切ないドラマにしたい、ということは意識していました。

――『コンフィデンスマンJP』は毎回詐欺のターゲットが異なり、一話ごとに話が完結しますよね。だからこそ過去を描かずとも話を進められる……というのもあるのでしょうか。

 それはあるでしょうね。視聴者の人たちにも「毎回独立した単独の作品」くらいの気持ちで見てもらえたらいいな、と思っています。

〈明日の質問は……Q15.「『リーガル・ハイ』の古美門研介という名前はどうやって生まれたのでしょうか?」です。〉

KEYWORDS:

当代随一の脚本家・古沢良太が描き出す
「痛快エンターテインメントコメディー」!
長澤まさみが、およそ11年ぶりに「月9ドラマ」主演!
長澤まさみ、東出昌大、小日向文世、主要キャストが全員詐欺師!

『コンフィデンスマンJP』

4月9日スタート 毎週月曜 午後9時放送 ☆初回30分拡大放送☆

【公式HP】http://www.fujitv.co.jp/confidenceman_jp/

写真提供/フジテレビ

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古沢 良太

こさわ りょうた

脚本家。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で第29回日本アカデミー賞 最優秀脚本賞を受賞。その後もドラマ『リーガルハイ』や映画『ミックス』などの話題作で脚本を担当。4月から放送スタートのドラマ『コンフィデンスマンJP』の脚本も手掛けている。


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