なぜあなたは「敬語の使い方」に鈍感でいられるのか。【福田和也】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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なぜあなたは「敬語の使い方」に鈍感でいられるのか。【福田和也】

福田和也の対話術

 

■話すことにたいして意識的になるとはどういうことか?

 

 その原因は、丁寧語の氾濫と、きわめて近似したものですね。

 つまり、漠然とした敬語にかかわるイメージ、いわゆるタメ口からの距離で測られる敬語のきわめて漠然かつあいまいな「だいたいこんな感じ」というイメージによって敬語が形成され、使用されてしまっているのです。

 何となく、敬語っていうのはこういう感じだ、というイメージは、あまり言葉にかかわる知識や認識がない人よりも、豊富な人の方が、むしろなまじ知識があるために、イメージにとらわれやすい。

 実際に敬語を用いる場面で、このようなイメージをもとに話してしまうがために、混用が起きてしまうのですね。

 そのような間違いを防ぐのには、どうしたらいいのか。

 それは何よりも、自分が、今、言葉によって何をしているのか、何を話しているのか、意識的になることです。

 話すことにたいして意識的になるというのは、つまるところ外国語、それも不慣れな外国語を話すように話す、ということです。

 誰でも、外国語を習いたての時には、頭で翻訳をしながら喋りますね。

 敬語は、あなたにとって、外国語のようなものだ、という意識をもって下さい。使えないというのは、そういうことなのです。

 無論、あまりたどたどしいのは困りますが、まず外国語というような意識をもつことが肝心なのです。

 

『福田和也コレクション1:本を読む、乱世を生きる』より本文一部抜粋)

 

 

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福田 和也

ふくだ かずや

1960年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。同大学院修士課程修了。慶應義塾大学環境情報学部教授。93年『日本の家郷』で三島由紀夫賞、96年『甘美な人生』で平林たい子賞、2002『地ひらく 石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞、06年『悪女の美食術』で講談社エッセイ賞を受賞。著書に『昭和天皇』(全七部)、『悪と徳と 岸信介と未完の日本』『大宰相 原敬』『闘う書評』『罰あたりパラダイス』『人でなし稼業』『現代人は救われ得るか』『人間の器量』『死ぬことを学ぶ』『総理の値打ち』『総理の女』等がある。

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