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「ビジョン」は人間のアナログな感情から生まれる

AI時代のリーダーの原則⑤

今後AI時代に生き残るリーダーは、どのようなリーダーか? これからはますます、機械ができること、人間にしかできないことが区別されていきます。機械にもできる仕事をやっているリーダーは評価されなくなり、機械に取って代わられるのは間違いありません。私たちが仕事をする上で、「過去も現在もそして未来も変わらなく必要な能力」と、「これから必要になる能力」があります。1万5000人以上のリーダー育成を支援してきた鳥原隆志氏が、新刊『AI時代のリーダーの原則』にまとめました。今回は、「これからも必要な能力」として【ビジョンメイキング】【自然力】【仕事を楽しむ力】について述べたいと思います。

■ビジョンメイキング~リーダーは夢を語る

 今までのリーダーは、会社の上層部が決めた構想を実現することに重きが置かれていました。

 例えば社長が業界シェアトップになると言えば、それをブレークダウンして自部署に落とし込んで現実的な計画に落とし込みました。

ひとりひとりが「ビジョン」の存在意義を理解しなければいけない時代だ。
(写真:フォトライブラリー)

 しかし、今はそれぞれの部署単位でビジョンを語るリーダーが求められています。

 それは戦闘単位が企業から、それぞれの部署単位に変わっていっているのです。
 コンビニエンスストアのオーナーさんであれば、あるチェーンの理想をベースに経営すればよかったのですが、最近は地域の中のどのようなお店であるかと考えなければ、戦略も立てることもできませんし、競争にも勝てなくなっています。

 このようにこれだけ環境変化が激しくなると、必然的にチームでの競争になり、個々のチームが小さい企業のように活動するようになります。

 そうなると、リーダーは一つの集団として、どの方向を目指すのかビジョンを持たなければなりません。

 これはチームを抱えるリーダーだけではなく、私たち個人に置き換えてもビジョンがないと生きていけない時代になりつつあるということです。

 今までのように一つの会社で働き続けるようなスタイルも終わり、いくつかの企業を掛け持ちするような働き方になりますし、一事業主のようなビジネススタイルが主流になるからです。

 ともあれリーダーは自身でビジョンを持って、それをメンバーに語れるようにしなければなりません。そうすることでメンバーはリーダーのビジョンに共感して、目指すべき方向性がわかりチームは進みだすのです。

 しかし、ビジョンを持てと言われても戸惑う方も多いでしょう。そもそもビジョンとは何でしょうか。直訳すると「将来の展望や見通し」を差すことが多いようです。

 簡単に言うと「夢」と思ってください。

 では夢はどのように作るのか?

 実は「なんでもあり」です。特に制約もルールもありません。逆に制約やルールを考えるとビジョンなんて出てこないものです。

 夢には根拠や現実性も必要ありません。

 子供の頃にプロ野球選手やアイドルを夢見た方に、「その成功確率と根拠」を聞くようなものです。

 なりたいものなりたい、それで夢は十分成り立ちます。

 このようになったらいいな、もしくは、こうなったらおもしろいな、という素直な感情からビジョンはつくられます。

 目標が決まったら、それを達成させるべく自分なりのストーリーを作ります。

 プロ野球選手になるには、まず町内会の草野球から始めて、そして地域のリーグ球団からスカウトが来て……とこれも妄想でいいでしょう。

 ビジョンを考えるうえで一つだけ注意する必要があります。

 それは「存在意義」です。これを「ミッション」と言います。

 あなた自身がどのような夢を考えてもいいのですが、周りから必要とされていることが前提条件になります。

 例えば、地球制服というビジョンを持っていても、周りから必要とされていなければ、誰もついてこないかもしれませんし、あなた自身のモチベーションも続かないからです。

 さあ、あなたは今のチームをどのようにしたいのか? 自由に考えて、そして自分自身が本当に目指したいものを明確にしてみてください。

 
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鳥原 隆志

とりはら たかし

株式会社インバスケット研究所 代表取締役。

1972年生まれ。大学卒業後、大手スーパーのダイエーに入社。販売部門や企画部門を経験し、10店舗を統括する店舗指導員(スーパーバイザー)として店長の指導や問題解決業務に従事する。管理職昇進試験時にインバスケットに出合い、研究・トレーニングを開始。その経験を活かして株式会社インバスケット研究所を設立。企業のリーダー研修などのためのインバスケット教材開発と導入をサポートする。日本で唯一のインバスケット・コンサルタントとして活動中。大企業の管理職研修など、1万5000人以上のリーダー育成を支援してきた。著書は『究極の判断力を身につけるインバスケット思考』(WAVE出版)など、40タイトル、累計50万部以上。



株式会社インバスケット研究所公式ホームページ

http://www.inbasket.co.jp/


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  • 2018.04.19