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二流のリーダーがやりがちな「部下の報告の聞き方」

AI時代のリーダーの原則⑧

今後AI時代に生き残るリーダーは、どのようなリーダーか? これからはますます、機械ができること、人間にしかできないことが区別されていきます。機械にもできる仕事をやっているリーダーは評価されなくなり、機械に取って代わられるのは間違いありません。私たちが仕事をする上で、「過去も現在もそして未来も変わらなく必要な能力」と、「これから必要になる能力」があります。1万5000人以上のリーダー育成を支援してきた鳥原隆志氏が、新刊『AI時代のリーダーの原則』にまとめました。今回は、「これからも必要な能力」として【傾聴力】【評価力】そして最後に【品格】について述べたいと思います。

■傾聴力

【聞くという技術を身につける】

 リーダーは多忙です。先日は研修で、ある企業の課長さんが嘆いていました。

「部下の報告と相談を聞いているうちに、夕方になってしまいました」

 私自身も上司として共感を覚える部分がありました。

 私たちリーダーの仕事は突発的なトラブルや報告、指導など計画外のことばかりです。

 ですから自分の仕事は、部下が帰ってから行なうリーダーも少なくないのが現状です。

 このような環境からリーダーは知らず知らずに“話しかけないでオーラ”を出したり、部下の話を簡潔に聞こうとする癖がついてしまいます。

 しかし、このような癖はリーダーの成長を阻害します。

 例えばあなたは、メンバーに対して、「なかなか報告が上がってこない」と思ったことはありませんか? もちろん部下が報告・連絡・相談に課題があるのかもしれませんが、案外上司側に問題があることも多いのです。

 それは上司が「聞かない」のが原因です。

「いやきちんと聞いている」。そうおっしゃる方も多いでしょう。

 しかし聞き方が下手だと、相手は聞いてくれていると思わないのです。

 聞くという行動は、自分が決めることではなく、相手が認めることで成立する行動だからです。

 特に以下の2つに陥っている人が多いです。

アタリマエだけど、部下の報告はカッコつけずにちゃんと聞こう (写真」:フォトライブラリー)

 それは、「聞いている振り」と「つまみ聞き」です。

 まず聞いているつもりは、外見は聞いているのかもしれないが、作業をしながら聞いたり、聞きながら別のことを考えている状態を言います。

 

 この状態だと、部下は「きちんと聞いてくれていない」と感じて、信頼関係が保たれません。

 もう一つは「つまみ聞き」です。

 これは自分の都合のいい部分だけ聞くことを言います。

 興味のあるところだけ聞いて、興味のないところは聞かないのは、相手の立場で聞いているとは言えません。

 また現象面だけを聞くのも、リーダーとしては不適格です。

 判断をしたりするのにはそれでいいですが、部下がその現象に対してどう感じているか、現象の裏にある感情を聞くのが本当の「傾聴」なのです。

 リーダーに必要なのは、話下手でも聞き上手になることです。人の話が聞けるということは部下との信頼関係構築のベースにあるからです。

 リーダーとメンバーを野球にたとえるなら、リーダーはピッチャーではなくキャッチャーです。相手に投げるよりも、しっかりと受け止めることが大事だからです。

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鳥原 隆志

とりはら たかし

株式会社インバスケット研究所 代表取締役。

1972年生まれ。大学卒業後、大手スーパーのダイエーに入社。販売部門や企画部門を経験し、10店舗を統括する店舗指導員(スーパーバイザー)として店長の指導や問題解決業務に従事する。管理職昇進試験時にインバスケットに出合い、研究・トレーニングを開始。その経験を活かして株式会社インバスケット研究所を設立。企業のリーダー研修などのためのインバスケット教材開発と導入をサポートする。日本で唯一のインバスケット・コンサルタントとして活動中。大企業の管理職研修など、1万5000人以上のリーダー育成を支援してきた。著書は『究極の判断力を身につけるインバスケット思考』(WAVE出版)など、40タイトル、累計50万部以上。



株式会社インバスケット研究所公式ホームページ

http://www.inbasket.co.jp/


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