二流のリーダーがやりがちな「部下の報告の聞き方」
AI時代のリーダーの原則⑧
■傾聴力
【聞くという技術を身につける】
リーダーは多忙です。先日は研修で、ある企業の課長さんが嘆いていました。
「部下の報告と相談を聞いているうちに、夕方になってしまいました」
私自身も上司として共感を覚える部分がありました。
私たちリーダーの仕事は突発的なトラブルや報告、指導など計画外のことばかりです。
ですから自分の仕事は、部下が帰ってから行なうリーダーも少なくないのが現状です。
このような環境からリーダーは知らず知らずに“話しかけないでオーラ”を出したり、部下の話を簡潔に聞こうとする癖がついてしまいます。
しかし、このような癖はリーダーの成長を阻害します。
例えばあなたは、メンバーに対して、「なかなか報告が上がってこない」と思ったことはありませんか? もちろん部下が報告・連絡・相談に課題があるのかもしれませんが、案外上司側に問題があることも多いのです。
それは上司が「聞かない」のが原因です。
「いやきちんと聞いている」。そうおっしゃる方も多いでしょう。
しかし聞き方が下手だと、相手は聞いてくれていると思わないのです。
聞くという行動は、自分が決めることではなく、相手が認めることで成立する行動だからです。
特に以下の2つに陥っている人が多いです。
それは、「聞いている振り」と「つまみ聞き」です。
まず聞いているつもりは、外見は聞いているのかもしれないが、作業をしながら聞いたり、聞きながら別のことを考えている状態を言います。
この状態だと、部下は「きちんと聞いてくれていない」と感じて、信頼関係が保たれません。
もう一つは「つまみ聞き」です。
これは自分の都合のいい部分だけ聞くことを言います。
興味のあるところだけ聞いて、興味のないところは聞かないのは、相手の立場で聞いているとは言えません。
また現象面だけを聞くのも、リーダーとしては不適格です。
判断をしたりするのにはそれでいいですが、部下がその現象に対してどう感じているか、現象の裏にある感情を聞くのが本当の「傾聴」なのです。
リーダーに必要なのは、話下手でも聞き上手になることです。人の話が聞けるということは部下との信頼関係構築のベースにあるからです。
リーダーとメンバーを野球にたとえるなら、リーダーはピッチャーではなくキャッチャーです。相手に投げるよりも、しっかりと受け止めることが大事だからです。