配偶者の「まったく興味のない話」を、弾む会話につなげるコツ
定年後に夫婦仲良く暮らすコツ⑤
■興味が無い話でも、じっくりきいてみればなかなか興味深いもの
夫婦で会話をしていると、時として、片方にとってまったく興味のない話になることがある。たとえば妻が、古い友人の複雑な生い立ちと、そこからくる性格のねじれ、なんていう話を始めたりするのだ。夫としては、その友人の顔も知らないわけだし、どうにも関心が持てないわけだ。
逆に、夫のほうがサラリーマン時代の手柄についてじっくりと語りだし、妻がついてゆけない、ということもあるだろう。要するに興味の持てない話が始まってしまうわけだ。
そういう時、
「その話には興味ない」
と言って話を打ち切ってはならない。せっかく話に勢いがついているのだもの、大いにその話をきかなければならない。
興味がない話とはいっても、じっくりきいてみればなかなか興味深いものなのである。
「へえ、そうなの」
なんて相槌を打ってきいていると、相手の話がだんだん面白くなってくるものなのだ。
興味が持てないというのは、自分で自分の関心をせばめていただけで、どんな話でも興味を持てるものなのだ。
そして、夫のほうも思いつくことがあり、
「それと似た話で、こういうことがあったよ」
と自分の話を始めるのもいい。
そういうやりとりこそが会話というものである。その夫婦には立派に会話が成り立っているのだ。
心が健康ならば、どんな話にだって興味が持てるはずである。
妻の言うことに、まったく興味が持てないという夫は、少しウツ状態かもしれないくらいだ。
夫の言うことにまったく関心の持てない妻は、既に主人在宅ストレス症候群なのかもしれない。
どうでもいいような話だが、それにつきあっていくのが、ふたりだけ暮らしの夫婦なのだなあ、というふうに考えよう。
そのほか、ふたり暮らし歴37年のベテランの著者が、料理や家事、散歩、旅行を通じて「ふたりだけ夫婦」の生活を充実させるコツを本書で紹介している。
<清水義範著『定年後に夫婦仲良く暮らすコツ』(ベスト新書・KKベストセラーズ刊)より構成>