第2回 ランドセル発祥の革名品 土屋鞄製作所の「バッグ」
職人技が詰まったメイド in 東京の名品図鑑 第2回
「一生に一度は手に入れたい!」そんな気持ちにさせる、こだわりの生活用品。いずれも東京生まれ、職人の技が詰まった「メイド イン 東京の名品図鑑」を紹介していく。第2回目は昨年50周年を迎えた「土屋鞄製作所」の「バッグ」を紹介しよう。
ランドセルで有名な土屋鞄製造所は、2015年で創業50周年を迎えた。革と真摯に向き合ってきた経験を活かして、大人用のバッグを作りはじめたのは2000年の頃から。ランドセルと同じように「シンプルなフォルムで、飾り気は極力控えめにして、飽きずに長く使えるもの」を手がけている。
つまり、革そのものの風合いと職人の腕で真っ直ぐ勝負している。
大人にも宝物のような鞄を
今からちょうど50年前、職人ふたりのランドセル工房として、小さな町工場や手仕事を営む家々が点在する足立区花畑で創業した土屋鞄製造所。現在は同じ足立区の西新井に居を移し、工房・店舗・本社の機能を集約している。ランドセルには、「丈夫な作り」が必要とされる。人生の中でも最大限にワンパクな日々を過ごす6年間、ぴったりと子供たちに寄り添うのだから当然のこと。それに加えて「品格のある佇まい」も追求してきた。卒業するまで飽きることなく使ってもらうためだ。
この「丈夫さと品格」は、大人のための鞄作りにも通底する。ベストセラーを続ける代表作は、47ページで紹介しているショルダーバッグ。通常に比べて約3倍の量のオイルを含ませたヌメ革には、見た目の風合い・手触り・香り・経年変化というあらゆる革の魅力が詰まっている。シンプルに徹したデザインにより、まさに革を楽しむための鞄になった。そこに太めのステッチが映えて、美しさと温かみを絶妙なバランスで兼ね備えた仕上がりに。