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定年後は、夫こそ家事に参加するべきだ

定年後に夫婦仲良く暮らすコツ⑥

配偶者の「まったく興味のない話」を、弾む会話につなげるコツは、興味をもって話をきいてみることだ。清水義範著『定年後に夫婦仲良く暮らすコツ』から著者の体験を紹介する。

暇ができた夫も家事に参加せよ

 夫が会社勤めをしていた時には、どうしてもそっちに気をとられ、家の中のことには目が届かなかったかもしれない。仕事から疲れて帰ってきて、それから家事を手伝うというのはなかなか大変で、どうしたって妻まかせになってしまうだろう。その時期はそんなふうに役割分担をするしかなかったと思う。

 しかし、夫が仕事からリタイアしたら、状況は変わってくるではないか。そうなったら夫は一日中家にいるのである。やることもなくて暇なのである。

 なのに、妻が家事のすべてをやり、夫はむっつり黙って新聞を読んでいるだけ、というのはおかしなことである。気軽に体を動かして、手伝ってみてはどうだろうか。

 

 得手不得手があって、なかなか手伝えないことと、手伝えることがあるのはしょうがない。

 私の例で言うと、洗濯には手を出しかねている。私も独身のひとり暮らし時代には、二槽式の洗濯機を持っていてそれで大いに洗濯をしていたものだが、今の全自動の洗濯機はどう動かせばいいのか、よくわかっていないのである。だから洗濯は妻まかせだ。乾いた洗濯物をたたんでしまう時、ごくたまにちょっとだけ手伝うことがある。タオルと布巾と自分のパンツとシャツぐらいはたたんで、所定のところへしまうのだ。だが、十回に一回ぐらい手伝うだけだから、いつもやっていると言うわけにはいかない。妻にしてみれば、洗濯関係は私がやっているな、というところであろう。

 玄関前に、枯葉がいっぱい落ちていることがある。晩秋の風の強かった日などは、特にそういう具合になる。

 そこで、掃除をしようか、ということになるのだが、その時は私も、必ず手伝うようにしている。妻が玄関付近の道路を箒ではいているのに、私は部屋の中でテレビを見ているというのは、ちょっとひどいな、と感じるのだ。

 箒はふたつあるから、私も一本持って、塀の東側は私がはく、とかの分担をするのだ。

 そういうふうに、できることは分担して手伝ってみると、妻もありがとうと言ってくれるし、ふたりの関係がよくなるのだ。

 本書では、ふたり暮らし歴37年のベテランの著者が、料理や家事、散歩、旅行を通じて「ふたりだけ夫婦」の生活を充実させるコツを本書で紹介している。

<清水義範著『定年後に夫婦仲良く暮らすコツ』より構成>

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清水 義範

しみず よしのり

1947年、愛知県名古屋市生まれ。愛知教育大学国語科卒業。1981年に『昭和御前試合』で文壇デビュー後、1986年に発表した『蕎麦ときしめん』でパスティーシュ文学を確立し、1988年、『国語入試問題必勝法』で吉川英治文学新人賞を受賞。2009年、中日文化賞受賞。『やっとかめ探偵団』シリーズなど、名古屋を題材にした作品も多い。


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  • 清水 義範
  • 2018.04.07